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くだもの&健康ニュース Vol.49
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毎日くだもの200グラムメールマガジン

□■□ くだもの&健康ニュース Vol.49
■□■ 2013年7月26日(金)配信

みなさん、こんにちは!
今週はナシの特集です。お楽しみください。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは下記です。
  http://www.kudamono200.or.jp
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<<< 本日のメニュ− >>>

・ 季節の便り
・ くだものレシピ:ナシ
・ くだもの広場:日本人の摂取エネルギーが減少していると聞きま
          したが、他の国はどうですか。
・ 文献紹介:果物と野菜の摂取で長生き
・ 花実好きの家庭果樹だより:キンカン
・ 文学の中の果物:親友交歓(太宰治)
・ くだものいちば
・ 読者から:日本人にも海外のデータが役立つのですか?
・ 編集部より

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■ 季節の便り

  汽車待つや梨くふ人の淋し顔
   − 正岡子規

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■ くだものレシピ:ナシ

○ 新生姜と梨の肉巻き

 梨の甘みと生姜ピリっと効いた肉巻きをコクと酸味のあるソース
で頂きます

材料
 梨 1/4個(約70g)、豚薄切り肉 4〜5枚、新生姜 30g、バター
約5g、オイスターソース、バルサミコ酢

作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/2023555

○ ロースハムの梨巻き

 ロースハムの旨みと、梨の甘みと、大葉の香りがいい感じに

材料(2〜3人分)
 梨 約 1/2個、ロースハム 6〜8枚、ツナ 40g、大葉 約6枚、す
りゴマ、マヨネーズ、ポン酢、わさび、バターorマーガリン、など

作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1555673

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■ くだもの広場:日本人の摂取エネルギーが減少していると聞き
           ましたが、他の国はどうですか。

 果物大好きのミカさんが、なにか聞きたそうに、博士のところに
やって来ました。

ミカ:こんにちは。日本人の摂取エネルギーが減少していると聞き
   ましたが、他の国はどうですか。
博士:こんにちは。前回に紹介したように、日本の1人1日当たり
   供給熱量は、近年、1割近く減少しているけど、欧米の先進国
   も減少傾向にあるんだよ。

ミカ:どのくらい減少していますか。
博士:FAO(国連食糧農業機関)の統計では、日本は1989年の2966
   kcalをピークに減少傾向に転じ、2009年ではピーク時の1989
   年に比べて8.2%減の2723kcalとなっているし、イタリアは、
   2000年の3720kcalをピークに2009年は2.5%減の3627kcalに、
   フランスは2002年の3669kcalをピークに2009年は3.8%減の
   3531kcalに、さらに、アメリカは2004年の3853kcalをピーク
   に2009年は4.3%減の3688kcalに、軒並み減少傾向となってい
   るんだよ。

ミカ:どうして減少傾向になったのですか。
博士:年齢人口構成の高齢化が影響しているようだね。
   日本の場合は高齢化の進展が最も早く、摂取エネルギー必要
   量が多い年齢層の生産年齢人口割合(注1)が1992年をピーク
   に低下に転じているし、イタリアやフランスも生産年齢人口
   割合のピークが1990年前後なんだね。アメリカは大分遅れて
   2010年前後にピークがあるんだね。

ミカ:高齢化で摂取エネルギーの多い年齢層の人口割合が低下した
   結果なんですね。
博士:その影響が大きいと思われるね。    
ミカ:欧米の摂取エネルギーは日本を大きく上回っているんですね。
博士:そうだね。日本より高齢化率が低いことや体格が大きいこと
   もあるけど、食べ過ぎもあるようだね。アメリカでは、肥満
   比率(注2)が3割を超えており、健康上の問題が深刻な社会
   問題化しているし、イタリアやフランスも肥満比率が15%を
   超えているんだよ。ちなみに、日本の肥満比率は4%程度だよ。

ミカ:でも、日本も食の洋風化が言われているから、気を付けない
   といけないですね。
博士:そのとおりだね。果物はダイエットに効果的だから、毎日食
   べるようにしたいね。

(注1)生産年齢人口割合は15歳以上65歳未満の人口割合。この年齢
   層は摂取エネルギー必要量の多い年齢層と概ね重なっている。
(注2)BMI(体重(kg)/身長(m)の2乗)が30以上の人の割合。
   身長170cmの人なら体重は86.7kg。

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■ 文献紹介:果物と野菜の摂取で長生き

 スウェーデン、カロリンスカ研究所の研究チームは、大規模コ
ホート研究から、果物と野菜の摂取量が減ると、減った量に応じて
死亡率が高まると、「アメリカ臨床栄養学雑誌」のオンライン版
(2013年6月26日)に発表しました。

 研究では、45-83歳の男性38,221名と女性33,485名を対象として
自記式質問票を用いて果物と野菜の摂取量を調査しました。その後
13年間追跡調査を行い、果物と野菜の摂取量が死亡率に与える量的
な関係について解析しました。

 調査した13年間で男性6,803名、女性4,636名が死亡しました。解
析の結果、1日に5サービングの果物と野菜を摂取をしていた群を基
準とした場合、摂取しない割合が高いほど生存期間が短く、死亡率
も高まることが明らかとなりました。

 果物と野菜をほとんど摂取しない群では、生存期間は平均3年短
縮され、死亡リスクは1.53倍でした。

 果物だけで考えた場合には、果物をほとんど摂取しない群は、1
日1サービング摂取群に比べて、平均19ヶ月の生存期間の短縮が認
められました。また、野菜だけの場合では、ほとんど野菜を摂取し
ない群に比べて、1日3サービング摂取群では32ヶ月の生存期間の延
長が認められました。

 以上の結果から、果物と野菜を1日5サービング摂らない人々は、
その摂らない割合が高いほど死亡リスクが高まると、研究者らは結
論付けています。

【文献】
Bellavia, A. et al.:Fruit and vegetable consumption and all-
cause mortality: a dose-response analysis. Am. J. Clin. Nutr.,
online June 26, (2013) [doi: 10.3945/?ajcn.112.056119]

【研究のポイント】
 本研究で、果物と野菜の摂取量は死亡率の増減と関係があり、摂
取量が多いほど死亡率が低くなるという量的関係が明らかとなりま
した。

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■ 花実好きの家庭果樹だより:キンカン
 
 キンカンの白い花が、盛夏の中で咲き出しました。
キンカンの白い花は、下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K049phto1.html

 前年の黄色い実が2つ残っています。(花実好き) 

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■ 文学の中の果物:親友交歓(太宰治)

 しかし、その日は、私は極めて軽薄なる社交家であった。毅然
(きぜん)たるところが一つも無かった。なんといったって、私は、
ほとんど無一物の戦災者であって、妻子を引き連れ、さほど豊かで
もないこの町に無理矢理割り込ませてもらって、以てあやうく露命
をつなぐを得ているという身の上に違いないのであるから、この町
の昔からの住民に対しては、いきおい、軽薄なる社交家たらざるを
得なかった。

 私は母屋へ行って水菓子をもらって来て彼にすすめ、
「たべないか。くだものを食べると、酔いがさめて、また大いに飲
めるようになるよ」

 私は彼がこの調子で、ぐいぐいウイスキイを飲み、いまに大酔い
を発し、乱暴を働かないまでも、前後不覚になっては、始末に困る
と思い、少し彼を落ちつかせる目的を以て、梨の皮などをむいてす
すめたのである。

 しかし、彼は酔いを覚ます事は好まない様子で、その水菓子には
眼もくれず、ウイスキイの茶呑茶碗にだけ手をかける。

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■ くだものいちば

 今回は、仙台市中央卸売市場に入荷している果物について紹介し
ます。入荷量の多い果物はスイカ、メロン、モモ、バナナなどです。

メロン(アールス、アンデス、クインシー、秋田美人、など)は高
知、山形、秋田産などです。

スイカは千葉、山形、秋田産です。

モモ(白鳳、など)は山梨、福島産などです。
スモモ(大石早生、ソルダム、など)は山梨、山形産などです。
サクランボ(佐藤錦)は山形産です。
ウメは宮城産です。

ニホンナシ(幸水)は茨城産などです。
リンゴ(ふじ)は青森産です。

ウンシュウミカン(ハウスみかん)は長崎産などです。
バレンシアオレンジ、グレープフルーツ、レモンは南アフリカ産です。

ブドウ(デラウェア、巨峰)は山形、山梨産です。

バナナ、パイナップルはフィリピン産です。
キウイフルーツはニュージーランド産です。

「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do

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■ 読者から:日本人にも海外のデータが役立つのですか?

 送られてくるメルマガを楽しみにしています。文学に現れる果物
は新しい視点で興味深く読んでいます。海外の文献も大変興味深く
読んでいますが、このデータが日本人にも当てはまるのか疑問に思
うことがあります。その点を教えてください。(東京;詮索好き)

【編集部より】
 メールありがとうございました。読者の多くの人たちが疑問に思
っている点かもしれません。

 本メルマガで扱っている疾病は、生活習慣病です。生活習慣病と
は、遺伝的背景よりも生活習慣が疾病発症原因に深く関与している
疾患の総称です。食習慣、運動習慣、喫煙習慣、飲酒習慣等の改善
で健康の維持増進ができると考えられています。例えば、ハワイに
移住した日系アメリカ人は、遺伝的には日本人と同じですが、生活
習慣病の病態は完全にアメリカ型です。

 人種についても質問されることがありますが、これも研究の進展
により、人種の概念は生物学的には誤りで、すべてアフリカを起源
とするホモ・サピエンスの一員であることも明らかになっています。
そのため、学問の世界を中心に、人種といった言葉を使うのをやめ
てヨーロッパ人、アフリカ人、アジア人などと地理的な呼び方をす
る研究者も増えています。

 科学雑誌「ネーチャー」に発表されたその科学的根拠を紹介しま
す(文献)。1987年、アメリカの研究チームは、ヨーロッパ、アフ
リカ、アジア、オーストラリア、アメリカに住む147人のミトコン
ドリアDNAを使った調査をした結果、調査したすべての人が約20万年
前のアフリカにいた女性のミトコンドリアを起源とする子孫である
ということが分かりました。この結果は、世界に衝撃を与えました。

 こうした結果などから、生活習慣病の予防には、日本のデータだ
けでなく海外のデータも含めたメタ分析などの最新科学の成果を受
け取ることが大切であると考えています。

 よろしいでしょうか。詮索好きさん、またメールください。お待
ちしています。

【文献】
Cann, R.L. et al.: Mitochondrial DNA and human evolution.
Nature,325: 31-6. (1987)

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■ 編集部より

 メールマガジン「くだもの&健康ニュース」が49号となり、次回
は50号です。皆様のご支援に感謝申し上げます。「医の倫理を守り、
科学の良心に従い、正しい情報を伝える」をモットーに配信を続け
てきました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。(tnk)

 福島の大きい桃(あかつき)を美味しく味わいました。暑い日に
は、冷やした桃が一番です。(HK)


くだもの&健康ニュース ご愛読に感謝申し上げます。

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     編集長 田中敬一 (tnk)


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