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くだもの&健康ニュース Vol.43
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毎日くだもの200グラムメールマガジン

□■□ くだもの&健康ニュース Vol.43
■□■ 2013年4月26日(金)配信

みなさん、こんにちは!
今週はメロンの特集です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは下記です。
  http://www.kudamono200.or.jp
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<<< 本日のメニュ− >>>

・ 季節の便り
・ くだものレシピ:メロン
・ くだもの広場:日本人は肥満の人が少ないと聞いたのですが、
          本当ですか。     
・ 文献紹介: 健康の維持増進には果物などからのカリウムの摂
         取と減塩
・ 花実好きの家庭果樹だより:アンズ
・ 文学の中の果物:寺田先生と銀座  (中谷宇吉郎)
・ くだものいちば
・ 読者からの便り:果物は肌のたるみの原因? ー その1
・ 編集部より

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■ 季節の便り

 メロンを取出して来て、器用に皿へ載せナイフで割った。
 − 岡本かの子(「鶴は病みき」)

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■ くだものレシピ:メロン

○ エビとメロンのカレー&マヨサラダ

 メロンのジューシーさ、甘みがカレー風味にピッタリ!
爽やかな夏のサラダ。前菜にも。

材料(4人分)
 メロン(果肉が白いもの) 半個から1個、ボイルドエビ 16から
20尾、マヨネーズ 大さじ3、カレー粉 小さじ2分の1、黒コショウ
(粗挽き) 適量

作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1869237

○ わんこご飯

 新鮮なお刺身をわんこ用にアレンジ!

材料(13kgわんこ分)
 赤身メロン、まぐろ(刺身用)、サーモン(刺身用)、アボカド、ア
ルファルファ、有機亜麻仁油

作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1834419

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■ くだもの広場:日本人は肥満の人が少ないと聞いたのですが、
           本当ですか。     
 
 果物大好きのリン太君が、なにか聞きたそうに、博士のところに
やって来ました。

リン:こんにちは。日本人は肥満の人が少ないと聞いたのですが、
   本当ですか。
博士:こんにちは。本当だよ。世界保健機関(WHO)の定義では、BMI
   (注)が25を超えると「太りすぎ・過体重」、30を超えると「肥満」
   なんだ。日本人の平均身長で体重をみると、167cmの男性は、
   BMI25は70kg、30は84kg。153cmの女性は、BMI25は59kg、30は
   70kgだよ。日本人のBMI30以上の人の割合は4.5%で、WHOの
      世界ランキング(2008年)では、BMIの高い国順で、189カ国中
      166位なんだよ。

リン:日本の順位は最後の方なんですね。
博士:日本より後は、インドが1.9%で182位、バングラデッシュは
   1.1%189位で最下位だね。
リン:ほかの主な国はどうですか。
博士:アジアは低くて、中国が5.6%で151位、韓国が7.3%で141位
   だね。欧米では、フランスが15.6%で120位、イタリアが17.2%
   で108位、ドイツが21.3%で83位、イギリスとロシアが24.9%
   で47位、アメリカが31.8%で24位だね。ちなみに1位は南太
   平洋のナウルの71.1%、3位はトンガの59.6%だね。

リン:アメリカは3割以上の人が、BMI30以上とは驚きですね。
博士:日本では、厚生労働省の国民健康・栄養調査で、BMI25以上
   を肥満者」としているが、アメリカで、BMI25以上だと7割に
   もなるんだ。日本は25以上が22.4%でも、肥満防止が国民的
   共通課題になってメタボ診断を推進しているけど、アメリカ
   は、肥満症治療が必要な状況なんだね。

リン:アメリカの食生活指針のシンボルマークの「マイプレート」
   が、お皿の半分を、肥満症治療の食事療法のようにカロリー
   密度の低い果物と野菜で埋めているのも、なるほどって分か
   りますね。
博士:ほう、リン太君は、詳しいんだね。
リン:太る体質なので、関心があるから、以前のメルマガの話を覚
   えていただけです。でも、日本の肥満度の低さは、世界トップ
   の平均寿命の理由の1つかも知れないですね。
博士:そうかも知れないね。

(注)BMI=体重(kg)÷[身長(m)の2乗]
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■ 文献紹介: 健康の維持増進には果物などからのカリウムの摂
         取と減塩

 イギリスのクイーンメアリー大学などの研究チームは、果物や野
菜、豆類からカリウムの摂取を増やし、減塩すれば健康の維持、増
進に役立つと「イギリス医学雑誌(BMJ)」(2013年4月3日)に発
表しました。
  
 世界保健機関(WHO)は、高血圧や心臓病、脳卒中予防のための
ガイドラインにおいてカリウムの摂取増と減塩の方針が示されてい
ますが、今回、ヒトを対象とした研究の解析結果からもWHOの方
針が支持されました。

 3,000人以上の成人(血圧:標準から高血圧)を対象とした34件
の研究を解析した結果、塩分の摂取量を4週間以上にわたり減らす
ことにより、血圧、血中脂質などの指標が改善されることが分かり
ました。この効果は男女の別なく、脳卒中や心臓発作、心不全のリ
スクの低下も認められました。

 また、減塩により血圧や血中脂質、カテコ−ルアミン、腎機能な
どの指標、コレステロールなどの脂質レベルも改善されました。子
どもの場合も同様の効果が認められました。さらに、減塩は、脳卒
中や致命的な冠動脈心疾患の発症リスクも低くなりました。

 一方、カリウムの摂取増は、血圧低下に寄与したほか、血中脂
質・ホルモン・腎機能の改善効果が認められました。また、成人を
対象とすると、カリウム摂取量が多いと、脳卒中や心臓発作のリス
クが24%も低下しました。子供を対象とした研究でも血圧の低下が
認められています。

 128,000人を対象とした研究からカリウムの摂取源は、果物、野
菜、豆類であることが分かりました。

 以上の結果から、研究者らは、果物などからのカリウムの摂取を
増やすとともに減塩すると予防効果が高いと述べています。

 WHOは、2025年までに成人では塩分摂取量を5g未満とすることを
目標としていますが、わが国の食塩の摂取量は約10gです。

【文献】
He, F.J. dt al.; Effect of longer term modest salt reduction
on blood pressure: Cochrane systematic review and meta-analysis
of randomised trials. BMJ. 346: f1325. (2013) [doi: 10.
1136/bmj.f1325]

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■ 花実好きの家庭果樹だより:アンズ

 今年は、ウメよりも早く花が咲いて、もう、大きな果実になって
います。
 アンズの果実は、下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K043phto1.html

 少しづつ実が大きくなっていくのを見て楽しんでいます。(花実好き) 

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■ 文学の中の果物:寺田先生と銀座  (中谷宇吉郎)

 先生と銀座については、妙にはっきりした印象が、一つ残ってい
る。それは先生と、千疋屋でメロンを食べた場面である。考えてみ
ると、もう三十年以上の昔の話であるが、メロンという西洋の非常
に高貴な果物が、その頃初めて、千疋屋で売り出された。何処(どこ)
の帰りだったか忘れたが、或(ある)夕方、二、三人の教室の連中と、
先生につれられて千疋屋へはいった。

「何にしようか」と見廻(みまわ)すと、いろいろなものの名前を書い
た白い紙片が、たくさんぶら下っていた。その中に「メロン五十銭
(せん)」と書いたのがあった。メロンの名前は、もちろん知っていた
が、それは遠い世界の話で、自分でメロンを食うなどということは、
思いもつかなかった。だいたい五十銭という値段は、大学前の洋食
屋で、毎日食べるランチの、二日分である。それで先生が「どうで
す、諸君、メロンを食べてみませんか」といわれた時には、思わず
ドキッとした。

 持ち出されたメロンなるものは、厚さ一糎(センチ)くらいの薄緑の
薄片である。今から考えてみれば、ごく普通のマスクメロンを十六
人前くらいに切ったものであった。しかしこの初めて見るメロンは、
外側が浅い鮮(あざや)かな緑色で、それが内側の橙(だいだい)色にとけ
込んでいる様子が、如何(いか)にも美しく、また高貴に見えた。

 初めてではあるが、大体見当はつくので、内側からスプーンで削
けずって食べ始めた。まくわ瓜(うり)の味を少し淡くしたようなもの
であったが、これがメロンの味かと思って注意して食べた。三分の
二くらい行って、まだ軟やわらかい部分が大分残っていたが、こう
いう高貴なものは、そう下品に食べては悪いと思って止(よ)した。他
の若い連中も皆そうした。

 ところが先生は、ずっと皮に近いところまで、削りとって食べら
れた。そしてひょっと私たちの皿を見て「君たちは、メロンは嫌い
ですか」ときかれた。一同はあわてて「いいえ」といって、また残
りのところを食べた。
(昭和三十年二月一日)

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■ くだものいちば

 今回は、愛媛県松山市中央卸売市場に入荷している果物について
紹介します。入荷量の多い果物は、デコポン、甘ナツミカン、レモン、
イチゴ、メロン、スイカなどです。

しらぬひ(デコポン)、せとか、清見、甘ナツミカン、イヨカン、
キンカンは愛媛産です。
ネーブルオレンジはアメリカ、愛媛産、レモンは広島産です。

リンゴ(ジョナゴールド、ふじ、王林)は青森産です。

イチゴ(紅ほっぺ、など)は愛媛産などです。
メロン(アールス、アンデスなど)は静岡、高知、熊本産などです。
スイカは熊本産です。

バナナはエクアドル産です。
キウイフル−ツは愛媛、ニュージーランド産です。

「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040U
C010SC999-Evt001.do

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■ 読者からの便り:果物は肌のたるみの原因? ー その1

 こんにちは。

 先日テレビでくだもののとりすぎは、たるみやしわの原因になる
といっていました。果糖によるものだとききました。実際はどうな
のでしょうか?(メルマガ名:あられちゃん)

【編集部から】
 メールありがとうございました。
 手を代え品を変えて果物に対する誤解が、あちこちから現れてき
ます。その理由の一つに、解説者の文献未読があるように思います。
今回の件もそうしたケースに当たります。とはいえ、こうした誤解
に対しても地道に対応したいと考えています。

 まず最初にテレビで報じられたことを整理します。
1.肌のたるみやしわの原因は、タンパク質で作られているコラー
ゲン線維に糖が結合すると、線維の弾力性が失われるため、肌のた
るみやしわが出来る。

2.タンパク質に糖が結合することを蛋白糖化(グリケーション:
用語解説1))といい、その指標としてヘモグロビンA1cが知られ
ており、今回のケースでは果糖が疑われている。
 しかし、ヒト対象として蛋白糖化と果糖に関する研究が行われて
おり、テレビ解説者はその文献未読と思われる。

3.文献未読のため、短絡的に果糖を多く含む果物がその原因と誤
解している。それだけでなく「食べ過ぎに注意」と述べているが、
どのくらいが食べ過ぎかテレビの解説者は明らかにしていない。ま
た、炭酸医療や菓子、野菜など果糖を含む食品については言及して
いない。


 今号では、アメリカ心臓病協会も信頼性が高いと評価している研
究について紹介する(文献)。

◇ 蛋白糖化(グリケーション)と果糖の関係

 私たちは、食物中の栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質を
消化・吸収し、生命を維持し活動するためのエネルギーを得ていま
すが、そのうち最もよく使われるのが炭水化物です。炭水化物は消
化・吸収された後、ブドウ糖となって肝臓へ送られ、その一部が脳
や筋肉で利用され、残りが肝臓内にグリコーゲンとして蓄えられま
す。そして、 さらに余った分は脂肪になります。従って、糖質を
主なエネルギー源としているヒトなどの生物は、代謝過程で蛋白糖
化の影響を受けます。

 蛋白糖化の代表的なヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖尿病治療の指
標として臨床応用されていますが、近年、蛋白質糖化反応は老化、
認知症、ガン、高血圧、動脈硬化などにも関与していることが明ら
かになってきました。

 こうした研究の一環として蛋白糖化と果糖との関係が調べられ、
果糖を摂取した動物で蛋白糖化反応が起きることが知られています。
 しかし、こうした研究は食餌の炭水化物源として果糖のみとする
ケースや果糖の過剰投与などで、生体内で異常な糖代謝が起きてい
ると考えられます。過剰投与すればビタミンでも生理障害が起きま
す。従って、ヒトの日常生活における摂取量と蛋白糖化との関係を
明らかにする必要があります。

 イギリスの研究チームが、純粋な果糖(トウモロコシから作られ
た高果糖シロップ)のデータを除いた8つの研究論文のデータを用
いて果糖と蛋白糖化との関係についてメタアナリシス(用語解説
2)分析を行いました(文献1)。

 分析の結果、食事の中に含まれている果糖は、蛋白糖化の指標で
あるヘモグロビンA1c(HbA1c)の濃度を下げる効果があることが分
かりました。対象研究において、果糖の摂取量が、1日当たり88gの
場合は60gの場合よりもヘモグロビンA1cの濃度が低いことが分かり
ました。実験データの摂取量と摂取日数を統計処理した結果、摂取
量が100gまでは、果糖の摂取量が増えるほど蛋白糖化の程度は減少
することが分かりました。

 ちなみに、100g当たりリンゴは6.8g、うんしゅうみかん(じょう
のう 普通)は2.4gです。また、はちみつ( 一般品)は43.6g、ト
マト加工品類 チリソースは7.4g、かぼちゃ類 西洋かぼちゃ(ゆ
で)は5.8gなどです。

 従って、テレビ解説者は最新の医科学研究の成果を伝えていない
と思われます。

(つづく)
 
【用語解説】
1) ヘモグロビンA1c(HbA1c)とは、血管内でブドウ糖がヘモグロビン
に結合してグリコヘモグロビン(HbA1c)を形成している状況を示
しています。ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在する蛋白質で、
身体の隅々に酸素を運搬する役割を担っています。

2) メタアナリシスとは、過去に独立して行われた複数の臨床研究
のデータを統合して、統計処理を行う手法です。採用するデータは、
信頼できるものに限り使用します。そのため、この手法で得られた
結論の信頼性は高いと考えられています。

【文献】
Livesey, G. and Taylor, R.: Fructose consumption and consequences
for glycation, plasma triacylglycerol, and body weight:
meta-analyses and meta-regression models of intervention
studies. Amer. J. Clinic. Nutr. 88: 1419-1437. (2008)

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■ 編集部より

 文学の中の果物では、雪の研究者中谷宇吉郎氏が、初めてメロン
を食べる場面がでてきます。その頃のメロンのイメージがよく分か
るお話です。初めて接する果物に対する姿勢は今も変わらないよ
うに思いました。(tnk)

 BMIが25を少し超えた程度で肩身の狭い思いをしている我が身に
は、BMIが30を超える人が3分の1もいるアメリカが別世界に見え
ます。(HK)


くだもの&健康ニュース ご愛読に感謝申し上げます。

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     編集長 田中敬一 (tnk)


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