くだもの&健康ニュース 本文へジャンプ

くだもの&健康ニュース Vol.37
皆様の登録をお待ちしています(無料)。登録サイトは ここ です。

毎日くだもの200グラムメールマガジン

□■□ くだもの&健康ニュース Vol.37
■□■ 2013年1月25日(金)配信

みなさん、こんにちは!
今週は、リンゴの特集です。
─────────────────────────────
毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp
──────────────────────────────

<<< 本日のメニュ− >>>

・ 季節の便り
・ くだものレシピ:リンゴ
・ 文献紹介:健全な食事で心臓病などの再発防止
・ くだもの広場:みかんをたくさん食べると、骨粗しょう症の予防
         になるそうですね。
・ 研究現場から:ウンシュウミカンに多く含まれているβ-クリプト
         キサンチンは骨粗しょう症の予防に効果
・ 花実好きの家庭果樹だより:ビワ
・ 文学の中の果物:声と食物(宮城道雄)
・ くだものいちば
・ くだもの豆知識:リンゴの原生地探索の歴史
・ 編集部より

──────────────────────────────

■ 季節の便り

  鵙(もず)鳴て北海の林檎到来

     − 正岡 子規

──────────────────────────────

■ くだものレシピ:リンゴ

○ バレンタインに林檎とチョコのマフィン

材料(マフィン型7個分)
 リンゴ 100g、チョコ(1枚) 55g、薄力粉 100g、砂糖 30g、
マーガリン 20g、シナモンシュガー 25g、など

作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/2087202

○ バレンタイン・りんごのホワイトガナッシュ

材料(15個くらい)
 リンゴ 40g、ホワイトチョコ 150g(4枚くらい)、生クリーム
30g、粉糖 適量

作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1702912

──────────────────────────────

■ 文献紹介:健全な食事で心臓病などの再発防止

 カナダ・マクマスター大学の調査から、心臓病や脳卒中などの既
往症がある人でも、健康的な食事に切り替えるとリスクを低減でき
ることが、医学雑誌「循環器」に掲載されました。

 研究対象は、国際的な2つの大規模無作為化比較試験参加者です
(降圧剤の内服に関する2つの試験)。対象者は冠動脈や末梢器官
に既往症がある人31,546人、平均年齢は66.5歳でした。56ヶ月間の
追跡期間中に、対象者で冠動脈疾患を再発したのは5,190例でした。

 調査では、参加者の食生活を評価しました。過去1年間における
果物、野菜、穀物、牛乳、魚、肉、などの食品の摂取頻度が調査さ
れました。同時に、喫煙や飲酒、運動習慣も調べました。

 食事の質の評価は、各食品に与えられたスコアを基に評価されま
した。スコアが高いほど、果物や野菜、魚の摂取量が多く、頻繁に
食べていることを示しています。

  食事スコアにより対象者を4分割し、最もスコアが高かった群
(最も健康的な食生活を送っていた群)は、最もスコアが低かった
群と比較して冠動脈疾患の死亡率が35%も低いことが分かりました。
また、心筋梗塞のリスクは14%、脳卒中のリスクは19%、うっ血性
心不全のリスクは28%低いことが分かりました。

 以上の結果から、研究者らは、心筋梗塞や脳卒中など循環器系疾
患のリスクがある55歳以上では、心臓学会が推奨する食生活を実践
することが、再発予防と生命維持のために有意義であると結論付け
ています。

【文献】
Dehghan, M. et al.: Relationship Between Healthy Diet and
Risk of Cardiovascular Disease Among Patients on Drug
Therapies for Secondary Prevention. Circulation, 126: 2705-2712.
(2012) [doi: 10.1161/?CIRCULATIONAHA.112.103234]

──────────────────────────────

■ くだもの広場:みかんをたくさん食べると、骨粗しょう症の予防
         になるそうですね。

 みかん大好きのミカさんが、うれしそうに博士のところにやって
来ました。

ミカ:こんにちは。みかんをたくさん食べると骨粗しょう症が予防
   できるらしいと新聞に大きく載っていましたが本当ですか。
博士:こんにちは。本当だよ。最近の研究で、新たに判明したんだ。
ミカ:どんな研究ですか。
博士:有名なみかん産地の静岡県三ヶ日町で行なっている研究なん
   だ。ここでは、みかんを多く食べる人が多いから、あまり食
   べない人とに分け、骨粗しょう症の発症率を4年間比較した
   んだよ。

ミカ:どのように比較したんですか。
博士:みかんに特に多く含まれている橙色の色素のベータークリプ
   トキサンチンの血中濃度で、みかんを多く食べているかどう
   かが分かるから、血中濃度でグループ分けしたんだ。その結
   果、血中濃度の高いグループは、低いグループに比べて発症
   率が明確に低かったんだね。

ミカ:どのくらい低かったんですか。
博士:血中濃度の低いグループの発症リスクを1.0とすると、高
   いグループは0.08で、10分の1以下だったんだよ。
ミカ:高いグループはみかんをどのくらい食べているんですか。
博士:高いグループは「毎日4個程度」、低いグループは「毎日
   みかんを食べない日がある」人だね。

ミカ:それ位で、そんなに効果があるなら、みかんを食べないと損
   ですね。
博士:そうだね。もっとも、この効果は、骨粗しょう症を発症しや
   すい閉経後の女性で明確だったんだね。でも、若いうちから
   みかんを食べる習慣も必要だね。ベータークリプトキサンチ
   ンはガンなどの生活習慣病予防にも、また、みかんに多いビ
   タミンCは美肌にも効果があるからね。
   それに、ベータークリプトキサンチンは、みかんに特に多く
   て、オレンジにはその1/10程度しかなく、グレープフルーツ
   にはほとんどないんだよ。

ミカ:おばあちゃんやお母さんが、骨粗しょう症の骨折で寝たきり
   にならないように、教えてあげよーっと。

──────────────────────────────

■ 研究現場から:ウンシュウミカンに多く含まれているβ-クリプト
         キサンチンは骨粗しょう症の予防に効果

 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所の研究
チームは、日本のウンシュウミカンに特徴的に多く含まれているカロ
テノイド色素であるβ-クリプトキサンチンが、閉経した女性の骨粗
しょう症の予防に有益であると、米国の科学雑誌「プロスワン」に報告
しました。

 果樹研究所は、国内有数のミカン産地である静岡県浜松市北区三ヶ日
町の住民約千人を対象にした栄養疫学調査(三ヶ日町研究)を平成15
年から毎年継続して行っています。これまでに、ミカンをたくさん食
べて血中β-クリプトキサンチン濃度が高い人では、肝機能障害やメタ
ボリックシンドロームのリスクが低いことなどを明らかにしてきました。

 また、三ヶ日町研究では骨密度調査も実施しており、これまでの研究
から血中β-クリプトキサンチン濃度が高い閉経女性では、血中濃度が低
い人と比べて、骨密度が有意に高いことなどを明らかにしています。

 しかしながら、骨粗しょう症の発症リスクと血中β-クリプトキサンチ
ン濃度との関係を、追跡調査で検討した研究はありませんでした。

 研究では、骨粗しょう症を有さない閉経女性を血中β-クリプトキサ
ンチン濃度が低いグループ(毎日ミカンを食べない日がある人達)、
中程度のグループ(毎日1,2個程度)及び高グループ(毎日4個程度)
の3つのグループに分け、その後4年間での骨粗しょう症の発症率を調
べました。

 その結果、毎日食べない日があるグループでの骨粗しょう症の発症リ
スクを1とした場合、高グループ(毎日4個程度)では0.08となり、92%
も発症リスクが低いことがわかりました。これらの結果は、ビタミン・
ミネラル類の影響を取り除いても有意でした。

 現在、国内における要介護に至る大きな要因の一つに、骨粗しょう症
による骨折等が挙げられます。骨粗しょう症予防は、将来的な要介護の
リスクを低くし、健康寿命の延伸につながるという観点からも注目され
る成果といえます。(果樹研究所 杉浦実)

【文献】
Sugiura, M. et al.: High serum carotenoids associated with lower
risk for bone loss and osteoporosis in post-menopausal Japanese
female subjects: prospective cohort study. PLoS One. 2012;7(12):
e52643. doi: 10.1371/journal.pone.0052643.

──────────────────────────────

■ 花実好きの家庭果樹だより:ビワ

 氷点下の朝がが続いている中で、ビワが白い花を順々に咲かせています。
白い花の写真は下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K037phto1.html

 霜に当たらないよう、屋根の下にビワの鉢を移動させました。(花実好き) 

──────────────────────────────

■ 文学の中の果物:声と食物(宮城道雄)

 また、私の経験によると、林檎のようなもの、レモンのような柑
橘類の少し熟したものを食べると、声のよく出ることがある。それ
も人によって違うかも知れぬが、多くの場合一寸酸味のあるものは
よいようであるが、鮨などはあまり食べない方がよく、酢は殊にい
けない。そして、声を出すのに大切なことは、胃を悪くしないこと
である。私は唄う前には決して食物をとらない。たとえ食べても、
腹八分目にしておくのである。重ねていうておくが、この食養生は
唄う直ぐ前のことである。

 少し話しが専門のことになったが、普通の婦人たちが話しをする
時も、なるべく美しい声を出して貰いたいと思う。近ごろの若い婦
人はかなり音楽的な声や言葉になって来たところもあるように思う。
婦人が夫を慰めるのは、あながち、容貌とかお化粧だけにあるので
はなく、これは私の音に生活しているためかも知れぬが、声や言葉
にもあると思う。夫が疲れて帰って来て、優しい言葉や声で慰めて
貰えば、夫婦喧嘩は起こらないだろうと思う。

 言葉はただ目で文字を読んだ感じだけでなく、耳で聞いてもいい
感じの言葉を用いたいものである。普通人と対座する時でも、なる
べく言葉や声によって、よい感じを与えるようにしたいと思う。そ
れには、お互に婦人に限らず、美しい声と美しい言葉とを遣うよう
にしたいものである。特に女性の優しさというものは声と言葉にあ
るように、私は思っているのである。

──────────────────────────────

■ くだものいちば

 今回は、東京都中央卸売市場大田市場に入荷している果物につい
て紹介します。取扱量の多い果物は、ミカン、リンゴ、イチゴなど
です。

温州みかん(早生温州、普通温州)は、愛媛、静岡、長崎産などです。
ネーブルオレンジは広島産、甘ナツミカンは熊本産、イヨカンは愛
媛産、、ハッサクは和歌山産、ポンカンは愛媛産、キンカンは鹿児
島産、不知火(デコポン)は熊本産です。

リンゴ(ジョナゴールド、紅玉、ふじ、世界一など)は、青森産など
です。

ニホンナシ(晩三吉)は、大分産です。
カキ(富有)は、福岡、岐阜産です。

イチゴ(とちおとめ、あまおう、紅ほっぺ、など)は、栃木、福岡、
静岡産などです。

メロン(アンデスなど)は、静岡、熊本産などです。
キウイフルーツ(ヘイワード)は、福岡産です。

「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do

──────────────────────────────

■ くだもの豆知識:リンゴの原生地探索の歴史

 リンゴは何千年もの間栽培されてきました。古代中国やエジプト、
ギリシアやローマでもよく知られた果物でした。

 1961年、ソ連の植物学者バビロフは、論文「ソ連地域とコーカサ
スにおける果樹の発祥」で、コーカサス山脈の北斜面の広大な地域
が栽培リンゴの発祥地であると発表しました。

 しかし、1979年に中国の研究者は「中国果樹分類学」の中で、野
生リンゴの原生林が天山山脈の標高1,250m地帯に存在していると発
表しました。

 一方、アメリカのUSDAなどの研究チームは、リンゴやその他の果
樹、ナッツ類などの収集を行い、1987年 「五大陸(Five continents)」
という本の中で、「野生のリンゴは、中国、カザフスタン、キルギス、
タジキスタンの国境の天山地域からカスピ海までの範囲に起源があ
る」と発表しました。

 カザフスタンの首都アルマトイの周辺に、最も大きな多様性がみ
られ、カザフスタンの野生のリンゴは、栽培種に近い大きな果実を
つける変種に属していて、小さな果実をつけるコーカサスのものと
は異なり、果実の味と大きさに関しても優れているとしています。


表.リンゴの生産量の多い国
−−−−−−−−−−−−−−−−−
  国名 生産量(トン)
−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.中国       35987221
2.アメリカ合衆国   4272840
3.インド     2891000
4.トルコ       2680080
5.ポーランド     2493080
6.イタリア      2411200
7.フランス      1858880
8.イラン       1651840
9.ブラジル      1339000
10.ロシア連邦     1200000
−−−−−−−−−−−−−−−−−
FAOSTAT2011年の資料から作成


──────────────────────────────

■ 編集部より

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い
いたします。今年も、果物と健康に関する様々な情報を紹介します。
今回紹介した循環器疾患の既往症のある人の再発予防にも、果物な
どを中心とした食事の有用性が明らかとなりました。健康の維持に
は、果物だけでなく食事全体のバランスが大切です(tnk)

 ベータークリプトキサンチンの研究成果発表会に参加しました。
生活習慣病予防や老化予防などの効果を聞き、日本に居てみかんを
食べないと損をするような気分になりました。(HK)


くだもの&健康ニュース ご愛読に感謝申し上げます。

 無断転載はお断りします。 リンクは自由です。
 詳しくは、著作権、リンクについて に記載しています。
 ご協力に感謝いたします。  敬白

     編集長 田中敬一 (tnk)


   Copyright(C) 2011-2012. 田中敬一(tnk) All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.禁無断転載