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第65回 治療から予防へ

  



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□□■ 果物&健康NEWS Vol.65 ■□□
   ■  2005年7月22日(金)    ■


みなさん、こんにちは!
今週の特集は「治療から予防へ」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 治療から予防へ
 ◇ 今週のレシピ:ニホンナシ
 ◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第7回)
 ◇ 理科自由研究参考サイト
 ◇ 果物おもしろ記録:世界で最も多くの品種を保存しているのは?
 ◇ 読者から
 ◇ 編集部より



□ 治療から予防へ

 21世紀の医療は、予防の時代と考えられています。これまでの病気になってから治療する医学(治療医学)に対し、病気にならないように日常から予防する医学(予防医学)への転換がはかられています。予防には、一次予防、二次予防、三次予防の三つの段階があります。一次予防とは、健康的な生活を送りながら危険因子を除去し、疾病の発生を抑えることを目標としています。二次予防とは、疾病を早期に発見し早期に治療することで、健康診断や人間ドックがこれに相当します。三次予防とは、合併症や再発の予防です。一般に、予防といった場合には、一次予防を指します。

 1971年ニクソン大統領は「war on cancer」を宣言し、ガンの撲滅を目指して豊富な資金をガン研究に投入しました。そのため、ガン治療法は著しく発展しましたが、発症率、死亡率の低下には直接結びつきませんでした。一方、1982年アメリカ国立科学アカデミーは、ガンに及ぼす要因について、人を対象とした疫学調査の研究結果をまとめて、ガンの発症を予防するため、喫煙をやめることと、食事の内容を改善し、果物と野菜を多く摂取することを推奨する勧告を行いました。

 この勧告を受けて、アメリカでは、果物と野菜を400g以上摂取する「5 A DAY運動」が1991年から始められ、ガンの死亡率、罹患率ともに減らすことに成功しました。開始から10年が経過したところで、この運動に対する査定が行われ、アメリカで最も成功した健康施策であると高く評価されました。そのため、当初400gとした果物と野菜の摂取量を400〜800gに改定し、なるべく800gに近づけるようにとしています。また、ガンだけでなく心臓病など生活習慣病の予防にも効果があると認めて現在も積極的に運動が推進されています。

 我が国でも平成12(2000)年に「食生活指針」が策定され、心身ともに健康で豊かな食生活の実現に向けて、「毎日くだもの200グラム」などの普及・啓発が進められてきました。しかし、果物・野菜の摂取不足などがなかなか改善されないため、「何を」、「どれだけ」食べればよいのかを分かりやすく示した「食事バランスガイド」が作成されました。アメリカの「5 A DAY運動」の成功に見られるように、毎日果物を2つ摂取することを含め、バランスのとれた食生活は健康づくり、生活習慣病予防に効果があります。また、治療費の削減、食料自給率の向上にも寄与すると期待されています。

 しかし、健康を維持・増進し、疾病を予防する運動がなかなか進まないのは、予防は効果が表れるまでに時間がかかる上、予防に成功しても実践した人自身が、なかなかその効果を実感できないためと考えられています。それに対して、治療は、短時間のうちに疾病が改善されるので効果を実感できます。従って、実践者に予防効果を実感してもらうために、果物などを食べると健康の維持・増進に役立つとする科学的な証拠を提示することが大切であるとされています。




□ 今週のレシピ:ニホンナシ

○ ニホンナシ「幸水」のコンポート
 美味しいナシを使ったジューシーなコンポートです。冷蔵庫でしっかり冷やすことがポイントだそうです。

【材料(2人分)】
 梨(幸水) 2個、グラニュー糖 大さじ2杯、ハチミツ 大さじ1杯、シナモンパウダー 適量、白ワイン 150ml、バニラアイス 適量

作り方と出来上がり写真は下記のサイトで見られます。
http://gourmet.goo.ne.jp/recipes/95.asp

○ ナシのサワードリンク
 暑い夏にナシのサワードリンクはいかがでしょうか。

【材料(4人分)】
 ニホンナシ 2個、プレーンヨーグルト 1/2カップ、水 1/2カップ、
 氷、砂糖 大サジ2杯

作り方と出来上がり写真は下記のサイトで見られます。
http://www.yc.zennoh.or.jp/recipe/nashi_3.html




□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
  第7回 ナシの収穫法


 暑い夏から秋にかけて、完熟もぎたてのナシは格別美味しい「くだもの」でしょう。庭先果樹としては比較的見かけることの少ないナシですが、「観光のもぎ取り」などで直接収穫する機会もあることと思います。そこで今回はナシの収穫法について述べてみます。

 現在栽培されているナシの主要品種は、赤ナシでは「幸水」、「豊水」が中心で、青ナシでは「二十世紀」です。もぎ取り園などでは、「幸水」、「豊水」のほかに「新高(にいたか)」、「新興(しんこう)」、「愛甘水(あいかんすい)」など赤ナシや、「八雲(やくも)」、「菊水」などの青ナシも収穫できます。また、運が良ければ、果樹研究所で育成された「豊水」のすぐ後に収穫できる甘みが強くてシャリシャリ感のある期待の赤ナシ「あきづき」に出会えるかも知れません。

 ニホンナシは、果実が大きく豊満で、果色が黄色味の強い黄緑色で、手で触ったとき表面の果点にざらつきを感じなくなる時が収穫期です。こうなると、果梗が果台(果梗の付いている部分)との間に離層が出来ているため、果実が果台から離脱しやすくなります。その他に、果皮の色沢、香気、果肉の風味、種子の色(黒くなっているかどうか)なども目安になります。赤ナシは、果皮の表層の下にコルク層が発達し、緑色から品種固有のさび褐色に変わり、特有の香気を発します。青ナシは、コルク層が緑色から黄緑色又は緑黄色に変わります。

 おいしい果実の形は、「幸水」では扁円形で左右対称に肥大し、変形果でないもの、「豊水」、「二十世紀」は円形で豊満なものです。特に、「豊水」では大果で、たてにできるくぼみの少ない豊円なものが良いと思います。収穫するときは、果実を片手で持ち、少し押し上げると果台から容易にもぎ取ることが出来ます。




□ 理科自由研究参考サイト

 オレンジやグレープフルーツの皮には、リモネンという物質が含まれています。このリモネンには発泡スチロールを溶かす性質があります。そのため、オレンジなどの皮の油(リモネン)で、発泡スチロールを溶かし、スタンプを作れます(下記サイト)。
http://www.asagaku.com/rika_time/2004/11/1117.html

 また、オレンジなどの皮からリモネンを抽出する手作り装置は、平成9年度東レ理科教育賞を受賞した杉原先生の理科室に詳しく記載されています(下記サイト)。抽出したリモネンで、発泡スチロールを小さくしてみましょう。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sugicom/kazuo/neta/bake41.html




□ 果物おもしろ記録:世界で最も多くの品種を保存しているのは?

 果樹の遺伝資源の収集数が、世界で最も多いのはイギリス・ケント州のブロッグデ−ル(Brogdale)園芸トラストです。ここでは、リンゴを2300品種、ナシを550品種、プラムを350品種、サクランボを220品種など、全部で4500以上の品種を収集・保存しています。圃場は150エーカー(約60ha)で、花の時期は壮観だそうです。リンゴでは、ローマ人も知っていた「Decio」という品種から、最近の品種まで保存されていて、なかにはパイナップル、バナナ、メロン風味のリンゴもあるそうです。

ブロッグデ−ル(Brogdale)のホームページは下記です。
http://www.brogdale.org/index.html




□ 読者から

 先週、私の興味のある記事が載りました。(果物おもしろ記録:1本の木に世界で最も多く異なった種類の果実を成らせたのはチリのLuis H. Carrascoさんです。モモ、ネクタリン、プラム、サクランボ、アンズの5種類の枝をプラムに接木しました(ギネスブックより))。

 バラ科だから、うまくいったようですね。わたしもやってみようと思います。ブナ科についても、椎に栗などつきましたが、まだ成長するかよくわかりません。柑橘と桃とプルーンなどはを色々な品種を一本の木に接いでいます。梨と林檎は間違えて接いでしまいましたが、2年目で枯れました。おかげさまで今は桃を味わっています。(T)




☆ 編集部より ☆

 関東地方は7月18日に梅雨が明けました。いよいよ果物の美味しい季節です。たくさん食べて健康を維持・増進しましょう。(tnk)

 暑くなってきましたが、こまめな水分補給、十分な休養で熱中症等に気を付けて下さい。(N)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。
 無断転載は、引用を含めて、お断りします。
 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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