ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第47回 キッズQ:リンゴはなぜ落ちるの?
果物で胃がん予防



  

      
□□■ 果物&健康NEWS Vol.47 ■□□
   ■  2005年3月4日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
今週の特集は、「キッズQ:リンゴはなぜ落ちるの?」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



:::■ メニュー ■:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 果物で胃がん予防
 ◇ キッズQ:リンゴはなぜ落ちるの?
 ◇ ニュートンとリンゴ
 ◇ 食育コーナー
 ◇ 今週のレシピ
 ◇ 編集部より



□ 果物で胃がん予防

 我が国の胃がんの発生率と死亡率は減少していますが、他の国と比較するとそれでも高い状況にあります。そのため、国立がんセンターどのJPHC(Japan Public Health Center-based prospective Study)の研究グループは、日本における食習慣と胃がんとの関連について調査を行いました。

 岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県石川の40〜59歳の男女約4万人について野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係を調べた結果、果物・野菜の摂取で胃がんの発生率が下がることが分かりました。 この研究の中で明らかになった果物の効果は以下の通りです。果物について「ほとんど食べない人」、「週に1日から2日食べる人」、「週に3日から4日食べる人」、「ほとんど毎日食べる人」の胃がんの発生率を比らべたところ、果物を「週1日以上食べる人」でも、「ほとんど食べない人」より胃がんの発生率が低下することが分かりました。このことから、果物の摂取量を少し増やすだけでも胃がんの発生率を下げられると考えられます。

 この研究からだけでは、どのぐらいの野菜・果物を食べれば胃がん予防できるかについてはわかりませんが、これまでの他の研究結果を含めて総合的に考えると、野菜・果物を少なくとも毎日1回は食べると胃がんの予防になると考えられます。

文献: Kobayashi M, Tsubono Y, Sasazuki S, Sasaki S, Tsugane S; JPHC Study Group. (2002) Vegetables, fruit and risk of gastric cancer in Japan: a 10-year follow-up of the JPHC Study Cohort I. Int J Cancer. 102: 39-44.


□ キッズQ:リンゴはなぜ落ちるの?

 リンゴはなぜ落ちるのでしょうか?ニュートンの発見した重力も関係していますが、重力だけでは落ちません。

 リンゴ果実は軸(果柄)で枝とつながっています。果実の成熟が進み収穫期近くになると枝と軸の間に離層と呼ばれる木質化しない特殊な細胞層が形成されます。離層が形成されると軸と枝の間が明確なり、外側からの切れ込みが入り、それが徐々に大きくなり、やがて果実は落果します。果実が落果しやすい品種は、‘つがる’,‘スターキングデリシャス’,‘王林’などで、落果しにくいのは‘ふじ’,‘さんさ’,‘ガラ’などです。

 離層の形成には、植物ホルモンや細胞壁を分解する酵素が関係しており、果実の落果のメカニズムは、葉の落葉などと同じと考えられています。塚原一幸(長野県果樹試験場)らの研究によれば、植物自身が作る植物ホルモンの1つで成熟・老化などに関与するエチレンの発量は、落果の多い‘つがる’,‘スターキングデリシャス’などで多く、落果の少ない‘ガラ’‘さんさ’‘ふじ’では少ないことが分かりました。また、エチレンの発生を抑制する薬剤(AVG)で軸と枝を処理すると落果数が減少しました。さらに、落果の多い‘つがる’では、離層が形成される部分で細胞壁を分解する酵素の1つであるセルラーゼの活性が高く、反対に、落果の少ない‘さんさ’では低いことを明らかにしました。

 こうした研究から、果実の落果は、植物体内にエチレンが生成され、そのエチレンが離層の形成を促進し、セルラーゼにより細胞壁が分解され、離層が崩壊しやすくなり、最終的に果実が落果すると考えられています。収穫前に果実が落果すると収量減に直結するため、落果防止技術の開発は、果樹栽培上の大きな課題の一つです。



□ ニュートンとリンゴ

 アイザック・ニュートン(Isaac Newton)が、リンゴの落ちるのを見て万有引力の法則を発見したというエピソードは世界的に有名です。 このリンゴの名前は、「フラワー・オブ・ケント(Flower of Kent)」で、落果しやすい品種です。

 ニュートンは、1643年1月4日に、ロンドンの北東部にあるウールスソープ(Woolsthorpe)で生まれました。18歳でケンブリッジのトリニティー・カレッジに入り、貧しい学生でしたが、奨学金を得て数学の研究に打ち込みました。伝記によると、食べるのを忘れて、時々眠のを忘れて没頭していたとあります。

 ところが、1665年夏に、イギリスにペストがはやり、大学は10月1日に閉鎖されてしまいました。そのため、ニュートンは、ウールスソープに戻り、研究を続けました。後に「奇跡の年」と呼ばれる1666年に万有引力の法則(the Law of Universal Gravitation)を含む3つの原理をこの地で書き上げました。

 ウールスソープで、ニュートンはガリレオ(Galileo)の物が地球に落下することに言及した本(Dialogue Concerning the Two Chief World Systems)を読みました。また、惑星が太陽の周りを回っていることについてのジョハネス・ケプラー(Johannes Kepler)の仕事にも興味をもっていました。ニュートンは、この2つの考えを融合する方法を毎日考え続けていました。

 1665年の秋のある夕方、ニュートンは、近くのリンゴ園を散策していた、ちょうどその時、熟したリンゴがニュートンの足の下に落ちました。どの枝から落ちてきたのかと見上げると、リンゴの枝の向こうに月が見えました。すぐにはインスピレーションは湧きませんでしたが時間がたつにつれこの情景に引きつけられました。

 リンゴは落ちてきたのに何故、月は落ちてこないのだろうか。リンゴにも月にも同じ原理で説明できる力とは何だろう。その答えが万有引力の法則です。ニュートンは惑星もリンゴも物理法則の中では同じであることを示したのです。

 ニュートンが生まれた家の写真は下記のサイトで。
 http://www.nationaltrust.org.uk/traveltrade/propertydetails.cfm?property_id=124

 ニュートンのリンゴの木‘Flower of Kent’はイギリスの下記のサイトで。
 http://www.eecis.udel.edu/~mills/ntp/

・ニュートンの力学についての解説書としてアインシュタインとインフェルト共著「物理学はいかに創られたか(上)」(岩波新書赤版)をお勧めします。数学を使わずとても分かりやすく書かれています。




□ 食育コーナー

 三重県科学技術振興センターでは、「出前科学体験教室」を行っています。下記のサイエンスパークのサイトに、名張市立錦生小学校の5,6年生が体験した「くだものの不思議」の教室の模様が掲載されています。

 「みんなの感想」の欄に「くだものの糖分の勉強では上の方がすっぱく、下の方があまい事がわかりました。今日、家に帰って勉強のときに教えてくださった、カキとミカンを食べようと思います。その時に下の部分を自分に、上の部分を弟にあげようと思います。」の感想におもいあたる人もいるのではないでしょうか。
 http://www.mpstpc.pref.mie.jp/kids/oshirase/demae04/04102901/




□ 今週のレシピ

○ バナナトースト

 アスリートのための主食レシピです。食パンにバナナをのせて焼くと、バナナの甘みが増し、一味違った味わいを楽しめるとのこと。バナナトーストはエネルギーも高く、炭水化物をしっかりとることができるので、スポーツ前後の補食としてもおすすめです。果汁100%のオレンジジュースなどを添えると、ビタミンやミネラルをさらに補えます。このレシピは国立スポーツ科学センターのレストランが提供しています。

【材料1食分】
・食パン(6枚切) 1枚、バナナ 1/2本、バター 大さじ1/2杯(7g)、はちみつ 大さじ1杯(20g)

・作り方とできあがりの写真は下記のサイトで。
 http://www.jiss.naash.go.jp/column/recepe.php?mode=detail&serialno=72




☆ 編集部より ☆

 数学がよく分からない私でも、「物理学はいかに創られたか(上)」は推理小説のようにおもしろく読めました。また、推理小説と科学の違いも書いてあり、なるほどと思います。特に、物理が嫌いになりかけている高校生にお勧めしたい本です。(tnk)

 こちらは雪が降りました。慣れていないこともあって、わずかに積もった雪の上を歩くのも一苦労です。大雪となっている地域におかれましては引き続きご注意下さい。(N)




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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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