ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第46回 果物と糖尿病予防



  

      
□□■ 果物&健康NEWS Vol.46 ■□□
   ■ 2005年2月25日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
今週は果物と糖尿病予防についてです。
「果物&健康NEWS」は創刊1周年を迎えました。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



:::■ メニュー ■:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 果物と糖尿病予防
 ◇ 食育コーナー
 ◇ 今週の給食メニュー
 ◇ 健康ニュース
 ◇ サイト紹介
 ◇ 読者から
 ◇ 編集部より



□ 果物と糖尿病予防


 厚生労働省の糖尿病実態調査によれば、糖尿病の治療が必要な患者数を約740万人と推定しています(2002年調査)。糖尿病は、血液から糖の取り込みに働くホルモンであるインスリンの作用不足のために、血液中の糖含量が高まり、様々な合併症が引き起こされる疾病です。糖尿病には2つのタイプがあり、1つは、自身のインスリン分泌が著しく阻害されるため、生命の維持にインスリンの投与が絶対的に必要なインスリン依存型糖尿病(T型)で、もう1つはインスリン非依存型糖尿病(U型)です。日本人の糖尿病患者の95%以上を占めているU型糖尿病は、一般に中年以降に発症が多く、年齢とともに有病率が増加する疾病で、インスリンの作用不足が起きやすい遺伝的な素因や運動不足、肥満、食べ過ぎ、ストレスなどで発症する生活習慣と深く関係した疾病です。残念ながら、現在の医学ではインスリンの作用不足を根本的に解消することは困難と考えられています。

 しかし、T型糖尿病もU型糖尿病も適切な治療を行うことによってインスリンの作用を改善し、血糖値を良好にコントロールすることができます。このコントロールを長く継続すれば合併症を起こさずに、健康な人と同様な社会生活を送り、寿命をまっとうできると考えられています。

 糖尿病の治療には、食事療法、運動療法、薬物療法の3つの方法がありますが、なかでも食事療法は最も重要です。糖尿病の食事療法で大切なことは、日常生活を送るのに必要な栄養素を補給するとともに、過食をさけ、偏食せず、朝、昼、夕など1日を3回以上に分けて食事を摂取する規則的な食習慣が重要です。

 糖尿病の発症には食習慣の影響を受けると広く認識されています。そのため、糖尿病予防のために適正なカロリーの摂取と栄養バランスのよい食生活が推奨されています。

 アメリカで行われた大規模なヒト介入研究によれば、生活習慣の改善によりU型糖尿病の発症を予防または遅らせることができることが明らかとなりました。対象となったのは、耐糖能障害(糖尿病予備軍:糖尿病にはなっていないが、血糖値が高い状態)の患者3234人に、標準的な生活習慣の改善指導を行った後、生活習慣改善群、服薬群、プラセボ(偽薬)群に分け、1996年から2.8年間、追跡調査した結果、生活習慣改善群で58%も糖尿病の発症が抑えられました。

 また、温州ミカンの摂取量と糖尿病との関係について、6049人を対象とした杉浦実(農研機構果樹研究所(興津))らの研究では、温州ミカンを食べる量が多いほど、糖尿病の罹患率が有意に減少していました。

 アメリカでは、食事と糖尿病に関する疫学研究から、糖尿病を予防するための食事摂取法は、心臓病や脳卒中などの予防のための方法とほぼ同じであるとしています。すなわち、糖尿病予防のためには、果物、野菜、胚芽などを取り除いていない穀類(全粒穀類)、無脂肪の乳製品、豆類、低カロリーの肉類、魚を中心に様々な食品を摂取することが必要としています。特に、食物繊維を多く含む果物、野菜、全粒穀類の摂取の大切さを指摘しています。こうした科学的な成果が、「アメリカ人のための食生活指針2005」(先週号)に反映しています。

 果物には果糖が含まれているため糖尿病には良くないと誤解されていますが、科学的には果糖と糖尿病の発症との間には有意な関係はないとされています。こうした研究を受けて作成されたアメリカ糖尿病協会(American Diabetes Association)の糖尿病フード・ピラミッド(the Diabetes Food Pyramid:USDA作成のフードガイドピラミッドとほぼ同じ)では「果物は、糖尿病の人も含めて、どんな人にとっても健康によいものです。果物は、エネルギー、ビタミン、ミネラル、食物繊維を与えてくれます。」と記載しています。




□ 食育コーナー

 食と農をテーマにした学習を行いたいと考えている学校は多いのですが、教える立場にある30〜40歳代の先生は、児童の親と同様に農業を体験したことがほとんどないため、具体的な計画に悩むことも多いとのこと。そんなとき関東農政局の「食」・「農」学習実施アイデア集が参考になります。
 「アイデア集」は下記
 http://www.kanto.maff.go.jp/syokunou/kids/index.html
 「食と農を考える広場」は下記
 http://www.kanto.maff.go.jp/syokunou/top.html
 「体験宿泊リスト(関東地区)」は下記
 http://www.kanto.maff.go.jp/syokunou/taiken/list/syukuhaku/index.html




□ 今週の給食メニュー

 WEBサイト「こちら小学校の給食室」にはたくさんの給食メニューが掲載されています。制作者は北海道・北の街・札幌の小学校の栄養士さんです。

・2月の献立には2日に1日の割合でくだものが付いています。
 http://www.nikonet.or.jp/~kana55go/kon502/kon502.html

・2月1日のメニュー(牛乳・揚げパン・イタリアンスープ・ラーメンサラダ・キウイフルーツ)の写真は下記
 http://www.nikonet.or.jp/~kana55go/kon502/kon50201.html

・2月7日のメニュー(牛乳・白飯orバターロール・コーンクリームスープ・ハンバーグきのこソース・清見オレンジ)の写真は下記
 http://www.nikonet.or.jp/~kana55go/kon502/kon50207.html




□ 健康ニュース


 先端医療振興財団(神戸市)は、世界のがん治療の最新情報を掲載する「がん情報サイト」を2月1日に開設しました。がんに用いられる標準治療薬や支持療法薬、治療成績のほか、国内外で実施されている抗がん剤などの臨床試験の進行状況も検索できます。また、財団の臨床研究情報センター(TRI)が全国のがん専門医と協力し、アメリカ国立がん研究所(National Cancer Institute)が運営するがん情報データベース(Cancer Information Physician Data Query:PDQ)を翻訳し、1カ月程度の遅れで掲載していくとしています。情報は専門的でやや難しい面もありますが、がんに関する科学的な成果のアウトラインを読むことが出来ます。
 がん情報サイトは下記
 http://cancerinfo.tri-kobe.org/




□ サイト紹介

 水戸の偕楽園で梅祭りが2月20日(〜3月31日)に始まりました。偕楽園は、金沢の兼六園、岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつに数えられ、江戸時代天保13年(1842)7月、水戸藩第9代藩主徳川斉昭公により造られました。園内には100種類以上、4,000本の梅が植えられ、咲いています。見頃は3月上旬とのこと。
 偕楽園のホームページは下記。
 http://www.mitokoumon.com/sisetu/kairakuen.htm




□ 読者から

○ いつも楽しみに「果物&健康NEWS」を拝見しております。群 馬からのレシピです。

・メニュー:「果物のクリームチーズかけ」
・材料:@桃缶、Aクリームチーズ、Bりんご・バナナ・イチゴなどなんでも

 くるみ保育園のフルーツヨーグルトと似ているのですが、好きな果物をたくさん、すぐ食べられるように切って、並べます。桃の缶詰を用意し、その果肉も加えます。そして桃缶のシロップで、クリームチーズをのばし(泡だて器でシロップとクリームチーズを混ぜる要領で)、果物の上に掛けるます。パーティ用デザートになりますよ。この「桃シロップ・クリームチーズのかけ」は、子供が大喜びするデザートでもあります。ぜひお試しあれ。(群馬県 K)




☆ 編集部より ☆

 「果物&健康NEWS」は、昨年の2月26日に創刊号をだしました。きつい日もありましたが、ほぼ週刊発行が出来ました。今夜はビールで乾杯します。(tnk)

 年度末となり、各所でドタバタな状況かと思いますが、適宜、果物で水分、ミネラル等の補給を!(N)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。
 無断転載は、引用を含めて、お断りします。
 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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