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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第205回 にわかには信じられない(その1)−読者からの質問から

  



■□ 果物&健康N8WS Vol.205
□■  2008年7月11日(金)


みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「にわかには信じられない(その1)−読者からの質問から」です。
メルマガをゆっくりとお楽しみください。。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp

:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:スイカ
 ◇ 今週のレシピ:スイカ
 ◇ にわかには信じられない(その1)−読者からの質問から
 ◇ 読者から:果物のカロリーと値段について
 ◇ 読者から:モモのカロリーとビワの伝承について
 ◇ 読者から:モモとうなぎの蒲焼のビタミン比較について
 ◇ キャッチコピーの締め切り迫る
   −皆様の応募をお待ちしています−
 ◇ 文学の中の果物:故郷(魯迅)
 ◇ 読者から:文学の中の果物−山陰土産について ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:スイカ

 スイカはアフリカが原産地です。栽培の歴史は古く、約4,000年前のエジプトの壁画にもスイカが描かれており、この頃にはすでに栽培されていたと考えられています。

 中国へは11世紀頃に、我が国へは15世紀頃に中国から琉球を経て薩摩に入り、その後、京阪地方から江戸へ伝わったと考えられています。我が国でスイカの栽培が盛んになったのは優良品種が渡来した明治中頃と考えられています。

 形や色、重量などの異なる様々な品種が栽培されていますが、我が国で栽培されているスイカは、球形で、果皮にしま模様があり、果肉が赤いF1品種(一代雑種)です。また、我が国では種子はあまり食べませんが、種子生産専用の品種もあります。




□ 今週のレシピ:スイカ

○ スイカで?!海老カレー

材料(2人分)
 スイカ(赤い部分) 250g、海老 大6尾、パプリカ 大1/2個、玉ねぎ 1/2個、シメジ 50g、牛乳 100g、プレーンヨーグルト 50g、薄力粉 大さじ1杯、クミンパウダー 小1と1/2杯、ガラムマサラ 小さじ1杯、固形コンソメ 1個、おろしにんにく 小さじ1杯、塩 小さじ1杯、サラダ油 適量

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/605355/

○ スイカの皮deかきあげ

材料
 スイカの皮 1/6個分くらい、たまねぎ 1/2個、にんじん 1/2本、小麦粉 適量、天ぷら粉 1カップ、水 150cc

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/607967/

○ スイカの皮のさっぱり炒め

材料
 スイカの皮(外側のかたい部分1〜2ミリの部分) 1/6個分、合いびき肉 大さじ2杯、ごま油 大さじ1杯、酒、みりん、しょうゆ 各大さじ2杯、 酢 小さじ1 杯

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/606759/




□ にわかには信じられない(その1)−読者からの質問から

 果物のカロリーが野菜と同じなんて、果物&健康NEWS以外では聞いたことも読んだこともありません。ましてや果物の値段が高くないなんてにわかには信じられない。

 モモとウナギの蒲焼きのビタミンを比較するなんて無謀ではないか。第一、果物を沢山食べていいなんて、そんな食事指導を受けたことはない。

 こんな読者からのご質問やご意見が寄せられています。そこで、もう一度このことについて考えてみたいと思います。

○ 野菜のカロリー

 最初は果物と野菜のカロリー比較についてです。モモとパセリだけを並べられると、特殊な例を上げているように感じられるかも知れません。

 100g当たりのモモのカロリーは40kcal、パセリは44kcalですが、ニンジンは37kcal、ニホンカボチャ(ゆで)は60kal、,ゴボウは65kcal、セイヨウカボチャは91kcal、スイートコーンは92kcalです。

 ここで比較しているのは食材としてのカロリー比較で、パセリを取り上げたのは甘さとカロリーは直接関係ないことを示すためです。

○ 摂取単位でのカロリー比較

 次に、摂取単位で果物と野菜を比較してみましょう。果物は生で食べることが多いのですが、野菜は調理して食べる事が多い食材です。そこで、食べる量を比較する基準として食事バランスガイドを使います。食事バランスガイドでは、食べる単位をサービングとしています。果物の1サービングは約100gで、野菜(副菜)の1サービングは約80gです。

 モモの1サービングは100gですので、原材料と変わらず40kcalです。副菜1サービング(約80g)のカロリーを示すと、ほうれん草のお浸し20kcal、レタスとキュウリのサラダ53kcal、ニンジンのバター炒め70kcal、野菜の味噌汁71kcal、きんぴらゴボウ100kcal、野菜の煮しめ134kcalなどです。

 こうしたデータをもとに果物&健康NEWSでは果物と野菜のカロリーはほぼ同じとしています。

○ カロリー単位での比較

 21世紀に入り、アメリカでは、食材・食品の比較にエネルギー密度という単位を使っています。エネルギー密度とは、ユニット当たりのエネルギー量で、100グラムあたりのカロリー量で示されます。その基礎となるのが各栄養素のカロリーです。炭水化物とタンパク質のグラム当たりのカロリーは約4kcal、脂肪は9kcal、アルコール飲料中のエタノールは7kcalです。

 エネルギー密度の低い食材・食品は、脂肪がほとんど含まれていない果物や野菜などです。なぜ、こうした単位が導入されたかというと、健康の維持・増進などの健康効果を評価するには重量単位(100g)は食材・食品を評価するのにはあまり適当ではないと考えられるようになったためです。

 例えば、カキと干しガキのビタミンなど栄養素を重量単位で比較すると干しガキの方が多いように見えます。しかし、カロリー単位で比較すると。ビタミンなど栄養成分値はほぼ同じになります。その理由は、干しガキにすると水分が減少し、成分が濃縮されるため、見かけ上栄養成分が多く含まれているように見えます。しかし、同時にカロリーも増加しているので、カロリー単位で両者を比較するとほぼ同じになるのです。

 従って、食材・食品のビタミンなど栄養成分値を比較するにはカロリー単位を用いるのが科学的に合理的です。こうした観点に基づいた100kcal単位の成分値を記載した成分表も市販されるようになりました。モモとウナギの蒲焼きをカロリー単位で比較するとモモの方がビタミンRなどが多くなりますが、それはウナギの蒲焼きのカロリーが多いためです。

 健康の維持増進のため、カロリーを減らしながらビタミンなどの栄養素を効率よく、十分に摂取するためにはモモなど果物が適していると考えられます。

 次回、にわかには信じられない(その2)として果物と野菜の値段の比較などについて紹介します。




□ 読者から:果物のカロリーと値段について

 果物&健康 NEWSを良く読ませていただいております。
 最新の知見を含め、果物に関する様々な情報を得られる貴重な場で、大変興味深いです。しかし、以前から気になっていた点があり、その事についてぜひ伺いたいと思いメールを差し上げました。

 例えば、前回か前々回の記事だったと思いますが、「桃のカロリーは100g当たり40kcalでパセリの44kcalより低い」という記述を見つけました。

 同様の記述は以前の記事にも見られたように記憶していますが(果物とその他の食品のカロリー比較という意味です)、桃を100g食べることは出来ても、パセリを一度に100gも食べることはまずないと思います。一度に摂取する量(もしくは摂取できる量)を全く考慮せずに、純粋に重量当たりのカロリーを比較して、果物はカロリーが低いと結論付けてしまうのはどうなのでしょうか。

 これはカロリーの話だけではなく、果物の値段の話のときにも感じた事です。もちろん、ある品目を一度に購入する量、摂取する量は人によって違うはずですから、現実の生活に則した比較をするのは難しいとは思いますが、この点についてどのようにお考えなのか、お聞かせ願えますと幸いです。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。 (夢枕)




□ 読者から::モモのカロリーとビワの伝承について

 いつも季節の話題をありがとうございます。疑問が2つあります。

@ モモのエネルギーをパセリと比べるのはおかしいと思います。ふつう、パセリを100g一気には食べないと思いますが、他に適当な比較対象がないのでしょうか?

A 「びわの木を屋敷内に植えてはいけない」という伝承について真偽のほどを検証ていただきたい。

よろしくお願いします。 (MC)

【編集部より】
 ビワの伝承について調査中ですが、このことについて科学的に研究したデータは見あたりませんでした。どなたかご存じの方がおられればお知らせください。




□ 読者から:モモとうなぎの蒲焼のビタミン比較について

 いつも、楽しくメルマガを読ませていただいてます。

 今回、桃の記述(リポフル閑談:夏ばてにはモモがいい)において、ビタミンE、ナイアシンの量がウナギ(の蒲焼?)よりも多いとありますが、本当なのでしょうか?

 私の使用している「五訂増補 日本食品標準成分表準拠」 新ビジュアル食品成分表[増補版] ISBN4-469-26581-0の記述と大きな違いがあります。また、普通に考えて、魚類よりも果実のほうがビタミンEの量が多いとは考えにくいのですが・・・・

 どのような方法(情報)を利用して記事を書かれたかを教えていただければ、ありがたく思います。よろしくお願いします。 
(T)




□ キャッチコピーの締め切り迫る
  −皆様の応募をお待ちしています−


 果物&健康NEWSでもみかんのβ-クリプトキサンチンの機能性については特集記事や論文を通して紹介していますが、このすばらしい機能性をより多くの方にPRするために、キャッチコピーを募集したいと思います。お気軽にご応募ください!!!
 なお、入選作品を応募された方には、果物グッズを差し上げます。

1.コンセプト
(1)みかんが健康に良いと印象づけるものであること
(2)誰にでもわかりやすいものであること
・ “みかん”にインパクトのある修飾語をつけたもの
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2.応募期間 7月18日(金)頃まで
3.応募方法 件名に“キャッチコピー”と入力して当メルマガ
のアドレスへお送りください。
 kudamono_kenkou@nm.maff.go.jp
4.入選作品の取扱い
誠に勝手ながら、入選したキャッチコピーの使用権は当方に帰属するものとさせていただきます。今後の「毎日くだもの200グラム運動」に活用する予定です。
 (注)本件は、無償の取組です。




□ 文学の中の果物:故郷(魯迅)

 こんな話をしたあとで母は語を継いだ。
「お前さんは久しぶりで来たんだから、本家や親類に暇乞いを済まして、それから出て行くことにしましょう」
「ええそうしましょう」
「あの閏土(じゅんど)がね、家へ来るたんびにお前のことをきいて、ぜひ一度逢いたいと言っているんだよ」と母はにこにこして「今度到著(とうちゃく)の日取を知らせてやったから、たぶん来るかもしれないよ」
「おお、閏土! ずいぶん昔のことですね」

 この時わたしの頭の中に一つの神さびた画面が閃き出した。深藍色(はなだいろ)の大空にかかる月はまんまろの黄金色(こがねいろ)であった。下は海辺の砂地に作られた西瓜(すいか)畑で、果てしもなき碧緑の中に十一二歳の少年がぽつりと一人立っている。項(えり)には銀の輪を掛け、手には鋼鉄の叉棒(さすぼう)を握って一疋(ぴき)の土竜(もぐら)に向って力任せに突き刺すと、土竜は身をひねって彼の跨(また)ぐらを潜(くぐ)って逃げ出す。

 この少年が閏土であった。わたしが彼を知ったのは十幾つかの歳であったが、別れて今は三十年にもなる。あの時分は父も在世して家事の都合もよく、わたしは一人の坊ッちゃまであった。その年はちょうど三十何年目に一度廻って来る家(うち)の大祭の年に当り、祭は鄭重を極め、正月中掲げられた影像の前には多くの供え物をなし、祭器の撰択が八釜(やかま)しく行われ、参詣人が雑沓(ざっとう)するので泥棒の用心をしなければならぬ。わたしの家(うち)には忙月(マンユエ)が一人きりだから手廻りかね、祭器の見張番に倅(せがれ)をよびたいと申出たので父はこれを許した。(この村の小作人は三つに分れている。一年契約の者を長年(チャンネン)といい、日雇いの者を短工(トワンコン)という。自分で地面を持ち節期時や刈入時に臨時に人の家に行って仕事をする者を忙月(マンユエ)という)

 わたしは閏土が来ると聞いて非常に嬉しく思った。というのはわたしは前から閏土の名前を聞き及んでいるし、年頃もわたしとおつかつだし、閏月(うるうづき)生れで五行の土が欠けているから閏土と名づけたわけも知っていた。彼は仕掛罠で小鳥を取ることが上手だ。



魯迅(ろじん)
 1881年9月25日 - 1936年10月19日)。本名は周樹人(ピンイン:Zh?u Shuren)で、字は豫才。中国浙江省紹興市出身。中国の小説家、翻訳家、思想家。若い頃日本の仙台医専(現在の東北大学医学部)に留学。文学者・日本文化研究者の周作人は弟。代表作は「阿Q正伝」、「狂人日記」など。狂人日記は、わずか15頁の短編作であるが、近代中国文学の最高傑作とされ、日本のみならず世界中で高く評価されている。




□ 読者から:文学の中の果物−山陰土産について

 文学の中の果物:山陰土産をみつけてとてもうれしく思いました。私は、益田市民でありますし、この文中の大谷氏の子孫にあたる方も存じているからです。

 周辺は当時とは随分変わっていますが、山上の庵は今も残っています。静寂の中の別世界にいる気分になります。

 ところで、私の地域では柚子の振興を図っていますが、柚子の紹介もしていただけませんでしょうか。
 期待しています。(益田市:加藤浩司)

【編集部より】
 メールありがとうございました。文中の御子孫の方からの手紙に驚いています。機会を見て柚子についても紹介したいと考えています。




□ 今週の果物

 大阪市中央卸売市場本場には、国内各地から様々な果物が沢山入荷しています。

北海道からはサクランボ、スイカ、青森からはリンゴ(「ふじ」など)、山形からメロン(「アンデス」)

茨城からはメロン(「アンデス」、「クインシー」、「タカミ」)、長野からはネクタリン、スモモ、ブドウ(「巨峰」)、山梨からモモ、スモモ、ブドウ(「デラウエア」、「巨峰」「ピオーネ」)、

静岡からメロン(「アールス」)、愛知からはメロン(「アールスメロン」、「タカミ」)、スイカ、石川からスイカ、和歌山からはモモ、ウメ、イチジク、スイカ

岡山からブドウ(「マスカットオブアレキサンドリア」、「巨峰」)、鳥取からメロン(「アムス」、「タカミ」)、スイカ、高知からメロン(「アールス」)

福岡からはブドウ(「巨峰」)、佐賀からはハウスミカンやナシ(「幸水」)、長崎からスイカ などです。




□ 今日のフォト

 果物の美味しい季節となりました。農研機構果樹研究所の圃場にはモモやナシなどの品種や育種中の系統が植えられており、調査や研究が行われています。しかし、果実が美味しくなるとヒヨドリやカラスなどの標的とされてしまいます。そのため、この時期になると鳥から美味しい果物を守るために防鳥網を掛けます(写真)。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News49.html
  (掲載は次号まで)




☆ 編集部より ☆

 「果物のカロリーは高く、ビタミンもビタミンC位しか含まれていない」という今までの常識に対して、科学的データをもとに解析していくのが果物&健康NEWSです。このような観点が社会応用科学的研究と考えています。(tnk)

 みかんキャッチコピーの応募が来週で終了します。かけこみぎりぎりでもOKですので、いっぱい送ってください。お待ちしております。
 劇団四季のウィキッドを観てきました。オズの魔法使いの過去の世界のお話です。近くにウィキッドカフェなるものがあり、キウイフルーツを使った飲み物(エメラルドkiwiヨーグルト)を注文しました。楽しくおいしくウィキッド三昧の一日でした。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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