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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第180回 食事バランスガイドと日本型食生活

  


□□■ 果物&健康NEWS Vol.180 ■□□
   ■ 2008年1月18日(金) ■


みなさん、こんにちは!
特集は「食事バランスガイドと日本型食生活」です。
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お届けします! 新鮮、おいしい、
科学な生活情報メールマガジン
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公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:2008年の目標
 ◇ 今週のレシピ:リンゴ
 ◇ 食事バランスガイドと日本型食生活
 ◇ 品種紹介:リンゴ「あかね」
 ◇ 果物の小話:クリの雑学−その2
 ◇ 文学の中の果物:歌時計 童謠集(水谷まさる)
 ◇ 第4回「食料の未来を描く戦略会議」の資料について
 ◇ 見て!聞いて!植物検疫
   〜海外の病害虫から日本の農産物を守る〜
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 携帯WEBメールで「果物&健康NEWS」を受信−その1
 ◆ 広告(携帯WEBメール編)
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:2008年の目標

 新年明けましておめでとうございます。本年もご愛読よろしくお願い申し上げます。

 昨年は、世界ガン研究基金の報告「食品、栄養、運動とガン予防:グローバルな視点」において果物の再評価が行われ、科学的観点からすると「毎日くだもの200グラム運動」には追い風が吹いています。

 また、本年4月からメタボリックシンドロームの健康診断が始まります。この話題について本メルマガでも積極的に取り上げていきます。メタボリックシンドロームの研究は、ダイナミックに進展しており、学術的な論争もあります。こうした議論も紹介します。

 さらに、子どもの心身の健全な発達、地域の食文化、食生活の改善を目的としている「食育」も積極的に取り上げます。

 そして、携帯WEBメールなどを利用して、果物の摂取量が少ない若い人たちに果物摂取の大切さを伝えていきたいと考えています。




□ 今週のレシピ:リンゴ

○ りんごチーズ揚げ

材料
 リンゴ 餃子の皮1枚につき1/16個くらい、チーズ 餃子の皮1枚につきスライスなら1/4くらい、餃子の皮または春巻きの皮など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/489999/

○ キャラメル林檎チーズケーキ

材料(18センチ丸型)
 リンゴ 1個(250g)、砂糖 リンゴの重さの20%、生クリーム(バターでもOK) リンゴの重さの10%、クリームチーズ 150gなど

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/490081/




□ 食事バランスガイドと日本型食生活

 平成17年(2005年)食事バランスガイドが決定され、その活用が期待されています(文献1)。科学的な研究から、この食事バランスガイドに従って食生活を改善すれば、生活習慣病やメタボリックシンドロームを予防できることがわかっています。

 果物の摂取を増やすとガン、高血圧、高血糖、高脂血症、脳卒中、心臓病、骨粗しょう症、白内障などの予防に有効なことが科学的に明らかとなっています。そのため、食事バランスガイドでは我が国では初めて果物の摂取目標が定められました。しかし、多くの調査から、果物の摂取不足が深刻な状況にあることを示しています。

 一方、昭和55年(1980年)に農政審議会は答申の中で、「欧米諸国と比較して優れたバランスを持つ日本型食生活の優れた点を評価し、栄養的な観点はもとより、総合的な食料自給力維持の観点からも、日本型食生活を定着させる努力が必要」と提言しました。そして、この提言を受け、昭和58年(1983年)に「食生活懇談会」から「私達の望ましい食生活−日本型食生活のあり方を求めて」としてまとめられました(文献2)。

 しかし、この日本型食生活に関する答申は、まだ、果物の生活習慣病予防効果が明らかになっていない時期(20世紀)の概念であり、かつ、答申からは果物の摂取が必要と読めないため、中には食事バランスガイドと異なり、果物を含めない概念を提唱している人がいます。

 そこで、もう一度、日本型食生活とは何かについて考えてみたいと思います。九州大学の研究グループは、「伝統的な」日本型食生活を「果物」と「乳製品」を食べない食事パターンと定義しました。簡単に言えば第二次大戦頃までの日本人の米飯を中心とした食事イメージです。

 こうした定義をもとに2型糖尿病(※)に関して、果物と乳製品を含むバランスの良い食事パターンと欧米型の食事パターン、「伝統的な」日本型食事パターンを比較しました。

 その結果、果物の摂取を含むバランスの良い食事パターンの食生活をしている人は、そうでない人と比べて49%2型糖尿病の発症リスクが低くなることが分かりました。(文献3)。大腸ガン予防に関する研究でも、果物を含むバランスの良い食事パターンでリスクが下がることが分かりました(文献4)。
  
 また、厚生労働省がん研究グループによる調査でも、胃ガンのリスクを下げるには、「伝統的な」日本型食生活よりバランスの良い食事パターンがリスクを下げることを明らかにしています(文献5)。そして、食生活に果物と野菜を豊富に取り入れることが大切であると提言しています。

 以上のように、生活習慣病やメタボリックシンドロームを防ぐには、「伝統的な」日本型食生活ではなく、果物を含むバランスの良い「新」日本型食生活に改善することが必要です。この「新」日本型食生活は科学的な研究に裏付けされているだけでなく、食事バランスガイドとも矛盾していません。

(※)2型糖尿病
 2型糖尿病とは、身体が作り出すインスリン量が十分ではないか、作られたインスリンが十分に働かないことに起因して発症する生活習慣病です。我が国では2型糖尿病が最も一般的な糖尿病で約90%以上はこのタイプです。

【文献】
1) 食事バランスガイド
  http://www.maff.go.jp/food_guide/balance.html

2) 日本型食生活の生まれた背景と定義
  http://www.e-shokuiku.com/guide/4_3_0.html

3) Mizoue, T. et al.: Dietary patterns and glucose tolerance abnormalities in Japanese men. J. Nutr. 136:1352-1358. (2006)

4) Mizoue, T. et al.: Dietary Patterns and Colorectal Adenomas in Japanese Men - The Self-Defense Forces Health Study. Amer. J. Epidemiol. 161: 338-345. (2005) [doi: 10.1093/aje/kwi049]

5) Kim MK, et al.: Prospective Study Group. Prospective study of three major dietary patterns and risk of gastric cancer in Japan. Int. J. Cancer 110: 435-442. (2004)




□ 品種紹介:リンゴ「あかね」

 「あかね」は「紅玉」と「ウースター・ペアメイン」を交配して出来た品種です。果色は濃鮮紅色で全面に着色し美しいのが特徴です。果肉は白色で、糖度11〜12%、リンゴ酸0.6〜0.7%、果汁
が多く、「紅玉」に似た芳香があり、食味はやや淡白で酸味を感じます。品種名は着色が優れ、全面濃鮮紅色となることにちなんで名付けられました。

「あかね」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-akane.html





□ 果物の小話:クリの雑学−その2

 ニホングリに品種らしい名が付くようになったのは江戸時代頃からとされ、文禄年間(1592〜1596)には、現兵庫県の長興寺の僧によって諸国に広められた'長興寺'(長光寺)、また'銀寄(ぎんよせ)''手々打(ててうち)栗(くり)'(父々打栗)などの名があります。なお、銀寄の名は、天明(1781〜1789)の飢饉の時に、本種のクリを売り、大いに銀札を集めたことからこの名が付いたといわれています。

 ニホングリは渋皮の剥皮が困難なため、ヒダを残すことができません。このことが、ニホングリがマロングラッセの製造に向かない大きな要因とされてきました。しかし、最近、渋皮剥皮が容易な'ぽろたん'が育成されました。クリ産業の革命児になることが期待されます。

 田植えを行う際に田の水口にクリの枝を挿し、供え物をして、クリのような大粒のコメが稔るように祈願する地方もあります。近畿地方では、9月9日を"栗節句"として栗ご飯を炊く風習があります。このように、古代からクリは食料として重要であったこともあり、縁起の良いものとして扱われています。しかし、屋敷内にクリを植えると家が繁栄しないとか、庄内地方では門松にクリの木を使わないといった忌み嫌う風習もあります。

 クリの語源は、果皮の色が黒(くろ)いことに、また落下した果実が石のように見えることから石を意味する古語クリ、などに由来するといわれています。  (間苧谷)




□ 文学の中の果物:歌時計 童謠集(水谷まさる)


りんごの皮むき

さあさりんごの
皮むきだ
きれずに長く
つながつて
するするむけば
いいんだよ。

お人形さんの
帶のよに
腕の時計の
紐のよに
ちやんときれいに
むくんだよ。

さあさりんごの
皮むきだ
銀のナイフは
よく切れる
手を氣をつけて
むくんだよ。



水谷まさる(みずたに まさる)
1894年12月25日−1950年5月25日
 東京生まれ。本名、勝。童話作家。童話集には「マッチの兵隊」、「葉っぱの眼鏡」、童謡集には「歌時計」、「神さまのお手」、翻訳には「若草物語」、「ロビンフッド」などがある。「あがり目さがり目」の作詞者でもある。




□ 第4回「食料の未来を描く戦略会議」の資料について

 「食料の未来を確かなものとするために、どのような課題に取り組むべきか」について行われた第4回「食料の未来を描く戦略会議」(平成20年1月15日)の資料が下記のサイトで読むことが出来ます。

http://www.maff.go.jp/j/study/syoku_mirai/04/
index.html





□ 見て!聞いて!植物検疫
 〜海外の病害虫から日本の農産物を守る〜


 海外旅行から帰ってくると、空港で入国検査を受けなければいけないことは、誰もが知っています。しかし植物にも入国検査が必要だということについては、あまり知られていないようです。そこで、植物検疫についての理解を深めていただくため、神戸植物防疫所関西空港支所の貨物検査場の見学と意見交換会が行われます。

日時:平成20年2月20日(水曜日)
場所:神戸植物防疫所関西空港支所など

詳細は下記のサイトに掲載されています。
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/
johokan/080117.html





□ 今日のフォト

 1月17日早朝、関東地方に初雪が降りました。果樹研究所の圃場にも雪が積もりました。静寂な雪の上にはウサギの足跡が見られます。

 写真はクリ圃場の早朝の風景です。クリは勝ち栗として古来より縁起の良い食品として知られています。明日(1月19,20日)から大学入試センター試験です。受験生の皆さんがんばってください。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/
KK-News29.html
 (掲載は次号まで)





□ 携帯WEBメールで「果物&健康NEWS」を受信−その1

 携帯WEBメールで「果物&健康NEWS」を受信してみませんか。携帯WEBメールとは、インターネット上にあるe-mailシステムを利用して受信したメールを携帯やパソコンで閲覧や、新規メッセージの作成・送信などが行えるシステムです。

 通常のメールと違ってすべてのメッセージをインターネット上で使えるため、どこからでも、携帯でもパソコンでもメールをチェックしたり過去のメールを参照したりできます。

 携帯Webメールは企業向けとして利用されていましたが、G-mailが無料で携帯WEBメールに対応したことから身近になりました。

 「果物&健康NEWS」の配信サイズは20KB(配信字数:全角で1万字)を越えることもあり、多くの携帯メールでは字数制限のため全文を受信できません。そのため、今までは携帯電話の利用については積極的に紹介してきませんでした。

 一方、最近の調査によると若い人は、パソコンより携帯電話を利用する頻度が高くなってきています。そこで、携帯電話でも携帯WEBメールで「果物&健康NEWS」が読めることを紹介していきます。
 (続きます)




■ 広告(携帯WEBメール編)

 携帯WEBメールで広がるくだものの「わ」



☆ 編集部より ☆

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年は、メルマガ発行5年、200号の配信が予定されています。多くの若い人に「果物&健康NEWS」を読んでもらいたいと思っています。 年末年始のめちくちゃな忙しさにもやっと目処が立ってきました。(tnk)

 あけましておめでとうございます。今年も皆様が果物を食べて、ご健康に過ごされますようお祈り申し上げます。本年も果物&健康NEWSをよろしくお願いします。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 詳しくは、著作権、リンクについて に記載しています。

 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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