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第143回 ビタミンEの発見と歴史

  
 

□□■ 果物&健康NEWS Vol.143 ■□□
   ■   2007年3月19日(月)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「ビタミンEの発見と歴史」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:パインアップル
 ◇ 今週のレシピ:パインアップル
 ◇ ビタミンEの発見と歴史
 ◇ ビタミンEの発見者ヘンリー・マッティル
 ◇ 品種紹介:パインアップル「ハニーブライト」
 ◇ 文献紹介:果物の摂取を増やすとダイエットに効果的
 ◇ 国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響
 ◇ 読者から:読者数を増やすには
 ◇ 果物花便り:2007 National Cherry Blossom Festival
 ◇ 読者から:りんごの思い出
 ◇ 果物の歌:Pineapple Princess
 ◇ 読者から:朝ごはんは、果物が最高!
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:パインアップル

 原産地はブラジル中・南部からアルゼンチン北部、パラグアイといわれています。我が国へは、江戸時代後期に琉球(沖縄)へ伝わったとされています。

 沖縄では、昭和10年頃から本格的な栽培が開始され、昭和32年には栽培面積が5千ha以上になり、沖縄の基幹産業の1つとなりました。しかし、平成2年の缶詰の輸入自由化に伴いパインアップルの加工産業は低迷し、栽培品種も生食用に切り替えられました。

 表面の溝に緑色が残っている果実が新鮮で、溝が深く、全体的に赤味がありツヤのあるものが良質果です。尻に近い方が甘いので、尻が大きくてずっしりと重みのあるものがお勧めです。




□ 今週のレシピ:パインアップル

○ 豚肉とパインアップルの重ね焼き
 フルーティでボリュームもタップリな料理です。

材料 (4人分)
 パインアップル(生) 120g、豚ももステーキ用 4枚、塩・コショウ 少量、サラダ油 大さじ2・1/2杯、じゃがいも 320g、塩 少量、ミニトマト 8コ、パセリ 適量
・ソース:パインアップルジュース 120cc、レモン汁 少量、コーンスターチ 小さじ2杯

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://www.tepore.com/homechef/tki_be13/index.htm

○ 酢豚
 パインアップルの甘酸っぱさが不思議なおいしさとのことです。

材料(4人分)
 豚肉肩ロース 200g、たけのこ(ゆでたもの) 50g、玉ねぎ 1コ、ピーマン 2コ、干ししいたけ 3枚、にんじん 50g、パインアップル 2枚、サラダ油 大さじ1杯
・豚肉の下味:しょう油 大さじ2杯、ニンニク 1片、しょうがのしぼり汁 少量
・中華衣:かたくり粉 大さじ4杯、水 大さじ2杯、卵白 1コ分
・あん:しょう油 大さじ4杯、砂糖 大さじ4杯、酢 大さじ3杯、スープ カップ1・1/2杯、トマトケチャップ 大さじ1杯、水溶きかたくり粉 適量、うまみ調味料 少量

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://www.tepore.com/homechef/twa_cy08/index.htm




□ ビタミンEの発見と歴史

 果物に脂溶性のビタミンEが多く含まれていることはあまり知られていません。例えば、果実200グラム中に、アンズとブルーベリーでは3.4mg、キウイフルーツでは2.6mg、モモでは1.4mg、サクランボでは1.0mg含まれています。食事摂取基準2005年版のビタミンE(α-トコフェロール)の目安量は、1日当たり成人男子(18-29歳)で9mg、成人女子(18-29歳)で8mgですから、果物はビタミンEの供給源として優れています。また、ビタミンEは、酸化しやすい上、熱に弱いので、生で食べる果物からの摂取は効率のよい方法です。

 ビタミンE発見の端緒は、マッティル(H. A. Mattill)らが1920年にラットを脱脂粉乳で飼育すると繁殖が出来なくなることを見つけたことです(文献1)。エバンス (H. M. Evans) とビショップ (K.S. Bishop)が、1922-1923年に既知のビタミンを含む試料でラットを飼育すると不妊症になるが、これにレタスを与えると回復することを見いだし、このレタスに含まれている未知物質を「X」と命名しました(文献2)。この物質は、脂溶性化合物であったことから1924年にシュア(B. Sure)がビタミンEと命名しました(文献3)。

 1931年に、オルカット(H. S. Olcott)とマッティルは、ビタミンEが抗酸化活性を持つことを報告しています。その後の研究でこのビタミンEは単一な化合物ではなく、同族体が存在することが分かりました。

 エマーソン(O. H. Emerson)らは、1936年に最も効力の高いα-トコフェロールを小麦の胚種油から抽出・結晶化しました。トコフェロール(Tocopherol)という名称は、ギリシャ語のTocos(子供を産む)とphero(力を与える)、また、水酸基を持つ化合物の総称にolを用いることからエバンスにより命名されました。

 ビタミンEは、老化の原因と考えられている過酸化脂質がつくられるのを防ぐ働きがあります。不足すると、しみができたり、血行が悪くなって、冷え性、肩こり、頭痛、しもやけなどの症状がでます。また、ビタミンEは妊娠期・授乳期には不足しないように気をつける必要があります。

 ビタミンEの抗酸化活性は、生体膜中で作用し、ビタミンCと協同して働くことが、生体膜モデルを用いた研究から明らかとなっています。生体膜中の脂質過酸化連鎖反応をビタミンEが止め、生成したトコフェロキシラジカルが膜表面のビタミンCにより再生されます。このこともビタミンEだけでなくビタミンCも多く含む果物の摂取が効果的であることを示しています。

【文献】
1) Mattill, H. A. & Conklin, R. A.: The nutritive properties of milk, with special reference to reproduction in the albino rat. J. Biol. Chem. 44: 137-158. (1920)

2) Evans, H. M. & Bishop, K. S.: On the existence of a hitherto unrecognized dietary factor essential for reproduction. Science (Washington, DC) 56: 649-651. (1922)

3) Sure, B.: Dietary requirement for reproduction. II. The existence of a specific vitamin for reproduction. J. Biol. Chem. 58: 693-709. (1924)

4) Evans, H. M. et al.: The isolation from wheat germ oil of an alcohol, -tocopherol, having the properties of vitamin E. J. Biol. Chem. 113: 319-332. (1936)




□ ビタミンEの発見者ヘンリー・マッティル

 ヘンリー・マッティル(Henry A. Mattill)氏は、1883年アメリカ・ミズーリ州グラスゴーで生まれました。1910年にイリノイ大学から生理化学の博士号を授与され、同年からユタ大学で生理学を、1915年から1918年までカリフォルニア大学バークレー校で栄養学を教えました。

 第一次世界大戦中は、軍の食品栄養学の少佐として勤務した後、1919年にロチェスター大学の生化学の教授になりました。そして、1927年からアイオワ大学の生化学の教授になり、亡くなる1953年まで勤めました。1952年には全米生化学会会長になりました。

 1920年にビタミンEを発見した後、ビタミンEと抗酸化作用について研究を続け、晩年は筋肉におけるビタミンEの代謝機能の研究を行っていました。

Mattill氏の肖像写真は下記のサイトにあります。
http://jn.nutrition.org/cgi/content/full/135/3/363/F1




□ 品種紹介:パインアップル「ハニーブライト」

 「ハニーブライト」は、「スムースカイエン種三菱系」と「I-43-908」を交雑して出来た生食用のパインアップル品種です。夏実は8月中旬に収穫可能な品種です。果実は900g前後で、夏実の糖度は18%前後、酸度は0.4%前後で、高糖低酸かつ多汁で食味に優れています。

「ハニーブライト」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/pr-honeybright.html





□ 文献紹介:果物の摂取を増やすとダイエットに効果的

 カナダ・ラバル大学の研究チームが食事パターンと体重の変化を6年間以上追跡調査した結果、果物の摂取を多くし、脂肪の摂取を減らすとダイエットに効果的であると報告しています。

 ボランティア248人を対象に1989-1994年と1995-2000年の2度、BMI値などを測定しました。その結果、果物の摂取量を増やしたか、脂肪の摂取量を減らしたグループにダイエット効果があり、さらに詳細に検討すると、生鮮果実やスキムミルクの摂取量と体重は逆相関の関係だと分かりました。

 以上の結果から、研究者らは、生鮮果実やスキムミルクなどの食品が肥満の治療や防止に有効であると述べています。

【文献】
Drapeau, V. et al.: Modifications in food-group consumption are related to long-term body-weight changes. Am. J. Clin. Nutr. 80: 29-37. (2004)




□ 国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響

 農林水産省は、我が国が農産物などの国境措置を撤廃した場合に国内農業や食料自給率などに及ぼす影響について一定の前提のもとで試算を行い、経済財政諮問会議EPA・農業ワーキンググループに資料として提出しました。

 それによると、国境措置を撤廃した場合、多くの国産農産物が大幅に市場(約3兆6千億円)と農業シェアを失い、国内生産が縮小するとしています。そして最終的に、総産出額(約8兆5千億円)の約42%に相当する国内生産額が減少すると考えられます。(下記PDFファイル3頁)

 カロリーベースの食料自給率は、現在の40%から12%まで低下すると試算しています。同時に、国内の農地、農業用水等の生産基盤が荒廃するだけでなく、食料生産に蓄積された幾多の農業技術・ノウハウの維持が困難となり、国民に食料を生産・供給する力そのものが大幅に減少すると述べています。(下記PDFファイル6頁)

上記資料は下記のサイトで読めます(PDFファイル全16頁)。
http://www.maff.go.jp/topics/epa_wg/4_02.pdf

経済財政諮問会議のEPA・農業ワーキンググループ(第2,4回)へ提出した農林水産省の全資料は下記のサイトにあります。
http://www.maff.go.jp/topics/epa_wg/index.html




□ 読者から:読者数を増やすには

 いつも読んで勉強させてもらっています。
 さて、登録者を増やすとのことでメールをさせて貰いました。私は現在「べジフルマイスター」の資格を目指して勉強しているのですが、健康に関する情報とか役に立つ文献がいろいろ見ることが出来助かっています。初級段階の「ジュニアマイスター」を含め1万人以上います。目に留まれば興味のある人はたくさんいると思います。何よりも農林水産省からの情報というのが安心できます。

 もうひとつ、私は八百屋に勤務しておりますが、果物の販促に役立つ情報を欲している青果バイヤーはたくさんいます。全国の地方青果市場にパンフでもあれば利用する人はたくさんいるのでは?

 余り役には立たないかもしれませんが、参考にしてください。届くのを楽しみにしている読者もいますので、これからも変わらず果物の魅力を伝えてください。(鳥取県:男43歳)

【編集部より】
 メールありがとうございました。さっそく青果バイヤーさんやベジフルマイスターさん向けのパンフレットを作り配布したいと思います。




□ 果物花便り:2007 National Cherry Blossom Festival

 今年で95回目となるアメリカ・ワシントンD.C.のサクラ祭り(2007 National Cherry Blossom Festival)は、3月31日から4月15日まで開催され、パレードや日本の伝統的な着物の展示会など様々なイベントが行われます。

 ワシントンのポトマック河畔に咲くサクラは、農事試験場園芸部(現・農研機構果樹研究所)が育成したものです。最初(明治42(1909)年)、東京市は10種2千本の苗を贈ったのですが、大部分が病虫害に侵されていたため焼却処分されてしまいました。そこで尾崎行雄東京市長(当時)は無病苗5千本の育成を農事試験場に依頼しました。場長の恩田鉄弥氏と主任技師の熊谷八十三氏らの努力で無病苗が育成され、その中から厳選された12品種3千本の苗が1912年にあらためてワシントンに贈られました。

 ワシントンD.C.の桜祭りのホームページは下記です。今年のサクラの開花期は4月1〜7日とのことです。
http://www.nationalcherryblossomfestival.org/
cms/index.php?id=390


 ワシントンD.C.に贈られたサクラとともに育てられたウスカンザクラ(薄寒桜)は、(独)農研機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点にあります。
http://fruit.naro.affrc.go.jp/soshiki/kankitsu/
okitsu/images/usukanzakura.jpg





□ 読者から:りんごの思い出

 私の実家は田舎の雑貨店。子供の頃、リンゴは全て木箱に入っておりそれを問屋さんが三輪車(今のバン)で運んで来ていました。現代ではウレタン等で中のリンゴを保護していますが、その頃は<スクモ>といって、籾殻(米の外皮)が一杯入っており、その中からリンゴを取り出し数と痛みの確認が私の役目でした。

 一箱に大抵15個前後入っていたような気がします。スクモの中に手を入れると痒くなります。最後の一つまで手をかき混ぜ調べるのですが痒さの為いいかげんにしていたのでしょう。偶に父親から<未だ一つ有ったよ>と注意されたものです。

 箱は潰してお風呂の焚き物にしていました。釘はちゃんと抜くき再利用。面倒臭いので釘を付けたまま焚くのですが、その灰を畑の肥料にしていた父に見つかります。また父親から小言です。

 当時アサヒに始まり、年末頃から国光が出始めます。それから余り好きではなかったのですがインドリンゴがありました。私の田舎岡山北部(日本原地方)では、夏休み終わり頃にレモンの大きさくらいの<青リンゴ>が店頭に並びます。実も小さくスッパイだけで余り食べる所は無かったように記憶しています。ただ他種類のリンゴが無かったのでコノ時期店頭に並んだのでしょう。

 今では年中リンゴが手に入るため今では生産する人も無く、木さえ現存していないのでしょう。恐らくリンゴの原種だったかも分かりません。現存といえば昔懐かしの超スッパイ夏蜜柑も手に入りません。どうなったのでしょうか。余りの酸っぱさの為、炭酸を付けて食べていましたが、今から思うと夏の暑さによく合っていました。青リンゴと夏蜜柑は暑い午後風鈴のそよぐ縁側を思い出します。(佐々木)




□ 果物の歌:Pineapple Princess

 Pineapple Princess(パインアップル・プリンセス)は、1960年に発売されたハワイアンの代表曲です。アネット・ファニセロ(Annette Funicello)さんのヒット曲ですが、日本でも田代みどりさんが歌いヒットしました。最近ではハワイを舞台したディズニーの「リロとスティッチの物語」でも歌われました。

 歌い出しは、「"Pineapple princess", he calls me pineapple princess all day(「パインアップル・プリンセス」、彼は一日中、私をパインアップル・プリンセスと呼びます)」です。

 歌と演奏は下記のハワイ州政府のサイトで聞けます(歌詞はありません)。クリックすると演奏が始まるのでじゃまな人は消音してからクリックしてください。
http://www.hawaii.gov/gov/music/pineapple_princess




□ 読者から:朝ごはんは、果物が最高!

 いつもお世話になっております。
 我が家は、昨年11月より朝ごはんは、果物だけに切り替えました。それまでは、和食で穀類と野菜の食事です。ベジタリアンです。

 ところで、果物だけにして調子がいいです。胃にとどまる時間が20〜30分ぐらいと短く、腸でしっかり栄養を吸収し特に頭を使う午前中には、胃や腸の負担が減り、最適な環境だと思います。もし消化に時間のかかる食物が果物と同時に胃に入っていたなら、もったいないことですし、摂取カロリーによっては太るのでしょうか。

 朝食に果物をしっかり食べるということが、現代人の健康づくりに絶対必要なことと思っています。
 果物の素晴らしさ、必要性、新しい食習慣を広める必要があります。たとえば、果物の商品を扱う企業のホームページにリンクをはる、栄養士さんのホームページにリンクをはる、クイズとミニプレゼントの企画をたててプレゼントコーナーにパブリシティで載せてもらう。例えば、女性向けライフスタイル雑誌やファッション誌、新聞の家庭欄、プレゼント専用HPなどに取り上げてもらいたいと思います。(K)



   「毎日くだもの200グラム運動」のロゴマークを使おう!
   http://www.kudamono200.or.jp/undou/copyright.html


☆ 編集部より ☆

 先日、北海道余市で講演(「本当にすごいくだものの科学」)しました。熱心聞いていただきましたが、やはり、果物の安全・安心には関心が高く、農薬についての質問がありました。消費者の皆さんの国産果実に対する安心感を失わせるようなことがあってはいけないと改めて思いました。(tnk)


 最近、以前よりもいろいろな種類の中晩かんが類を食べることができてうれしいかぎりですね。時節柄、送別会などで飲む機会が多いのですが、果物をたくさん食べて元気よく過ごそうと思っています。(uru)


 メルマガの読者数の増加についてのご意見を多数頂きました、これらの意見を参考にして多くの方々に情報を提供できるメルマガを目指して行きます。(sk)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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