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第128回 果物摂取とぜん息予防

  




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□□■ 果物&健康NEWS Vol.128 ■□□
   ■   2006年11月17日(金)  ■


みなさん、こんにちは!
今週の特集は、「果物摂取とぜん息予防」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:クルミ
 ◇ 今週のレシピ:クルミ
 ◇ 果物摂取とぜん息予防
 ◇ 品種紹介:クルミ
 ◇ 文献紹介:クルミはオリーブ油より心臓に良い
 ◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第42回)
 ◇ 文献紹介:減量後の体重を維持するには行動計画が必要
 ◇ 文学の中の果物:夜明け前(島崎藤村)
 ◇ お知らせ
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:クルミ

クルミはナッツの中でも脂肪が多く、主な脂肪酸はリノール酸、オレイン酸、α-リノレン酸です。

 リノール酸、α-リノレン酸は、動物の体内では合成されない必須脂肪酸です。また、α-リノレン酸は脳や神経系の働きと関係しており、生体内でイコサペンタエン酸(IPA or EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)に変換されます。リノール酸は血中のコレストロール値や、中性脂肪値を下げることが知られています。

 抗酸化作用のあるビタミンE、疲労回復によいビタミンB1、葉酸なども多く含まれていて、クルミは滋養に優れた食品です。




□ 今週のレシピ:クルミ

○ 五平もち(御幣餅)
 五平もちは、木曽や伊那など長野県南部の郷土料理です。島崎藤村著「夜明け前」にもでてきます。

材料(4人前)
 だんご生地:米 1合(150g)、小麦粉 大さじ1杯、塩 少々
 つけだれ:クルミ 20g、ごま 30g、砂糖 20g、みそ 20g、みりん 大さじ1杯、しょう油 大さじ1杯

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://national.jp/product/cooking/ih_heater/local_recipe/gohe.html

○リンゴとクルミのトルタ
イタリアの朝食に欠かせない果物トルタです。

材料(18cmケーキ型1台)
 クルミ 30g、リンゴ 1個、バター 100g(室温に戻しておく)、全卵 2個分、グラニュー糖 70g、薄力粉 100g、ベーキングパウダー 小さじ1杯、塩 ひとつまみ、粉糖 適宜

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真を見ることができます。
http://allabout.co.jp/gourmet/italiancuisine/closeup/CU20041027P/
index.htm?FM=cukj&GS=italiancuisine





□ 果物摂取とぜん息予防

 我が国では現在、400万人の子供たちが気管支ぜん息といわれおり、その数は年々増加、低年齢化の傾向にあります。ぜん息とはある種の刺激に誘発されて気道が一時的に狭くなり、呼吸困難に陥る再発性の病気です。ぜん息はどの年代にも発症しますが、子供のときに始まるのが最も一般的です。

 ぜん息の原因として様々な因子が指摘されていますが、食生活が関係しており、新鮮な果物を含む食バランスの良い食事に改善すれば、ぜん息を予防できるとする科学的データが蓄積しています。

 リンゴがぜん息と関係するかについてイギリス南ロンドン地区でぜん息患者1471人と健常者2000人について追跡調査が行われました。その結果、1週間に5回以上リンゴを摂取するとぜん息発症のリスクが32%減少していました(文献1)。また、リンゴ摂取によるぜん息発生抑制効果は、15才より前に発生するぜん息に対してより強く関係していると報告されています。

 子供18,737人(6-7歳)を調査したイタリアの研究では、新鮮果物(特に、ビタミンCを多く含む果物)を多く摂取していた子供は、ぜん息症状(ぜん鳴)の発症が少ないことが分かりました(文献2)。それも、果物を1週間あたり1〜2サービング摂取していた子供は、1サービング未満の子供に比べてぜん鳴の発生率がおおよそ半分になりました。この結果は、ほんの少し果物の摂取を増加させるだけで有益な予防効果が得られることを意味しています。

 最近、イギリスで行われたぜん息に対する調査から、健常人に比べてぜん息患者は、果物、ビタミンCの摂取量が少ないことが明らかとなりました(文献3)。ぜん息と診断された515人と健常人515人の成人を対象に調査を行った結果、健常人は果物を毎日149.1グラム摂取していましたが、ぜん息患者の果物摂取量は132.1グラムでした。また、カンキツ類を毎日少なくとも46.3グラム摂取している人は、全く食べない人と比べてぜん息のリスクが半分でした。

 ぜん息患者の血液中のビタミンCの量は54.3μmol/lで健常人の58.2μmol/lに比較して統計的に有意に低いことも分かりました(p=0.003)。ぜん息患者でビタミンCが低いのは果物の摂取量が少ないためでした。一方、ぜん息患者も健常人も摂取したカロリーや脂肪の量は同じで、身体的活動、教育、過去の喫煙についても両者に差がありませんでした。

 これらの調査結果は、食事内容を改善すればぜん息を予防できることを示しています。アメリカ国立ガン研究所が作成したガイドラインでは、果物と野菜を毎日5サービングの摂取を推奨しています。この指導に従えば200mgを超えるビタミンCを摂取することが出来ると報告されています。

 こうした研究から新鮮な果物の摂取量(「毎日くだもの200グラム以上」)を増やして、バランスの良い食生活に改善するとぜん息予防に効果的です。

【文献】
1) Shaheen, S. O. et al.: Dietary antioxidants and asthma in adults: population-based case-control study. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 164: 1823-1828. (2001)

2) Forastiere, F. et al.: Consumption of fresh fruit rich in vitamin C and wheezing symptoms in children. SIDRIA Collaborative Group, Italy (Italian Studies on Respiratory Disorders in Children and the Environment). Thorax. 55: 283-288.
(2000)

3) Patel, B. D. et al.: Dietary antioxidants and asthma in adults. Thorax 61: 388-393. (2006) [doi: 10.1136/thx.2004.024935]




□ 品種紹介:クルミ

 クルミは、クルミ科クルミ属に属する殻果類の総称です。ヒメグルミ、オニグルミ、ペルシャグルミや、カシグルミとペルシャグルミの交配から生まれた信濃クルミなどがあります。
 北海道から九州各地で栽培可能ですが、多くは長野県や東北地方で栽培されています。アメリカなどから、殻が大きくて薄く割りやすいペルシャグルミが多く輸入されています。

 アメリカ・カリフォルニア大学デービス校が提供しているクルミの果実の写真は下記のサイトで見られます(花の写真から収穫まで全部で7枚です)。
http://ucce.ucdavis.edu/universal/gallery.cfm?group=1104&picnum=6




□ 文献紹介:クルミはオリーブオイルより心臓に良い

 オリーブオイルは炎症反応抑制効果が高いことが知られています。一方、クルミにも有用な脂肪酸が多く含まれています。そこで高脂血症の患者12人と健常人12人を対象にクルミ40gかオリーブオイル25gを摂取してもらったところ、クルミを食べたをグループは、オリーブ油を摂取したグループと比較してコレステロールが適正値になるなど、酸化や炎症反応の改善に優れていることが分かりました。

【文献】
Cirtes, B. et al.: Acute Effects of High-Fat Meals Enriched With Walnuts or Olive Oil on Postprandial Endothelial Function. J. Am. Coll. Cardiol. 48: 1666-1671. (2006) [doi: 10.1016/j.jacc.2006.06.057]




□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
  第42回 家庭で楽しむブルーベリー栽培10
  ブルーベリーの整枝・剪定1


○ 剪定時期
 ブルーベリーは、一般の落葉果樹と同様に枝が休眠期に入ればいつでも剪定は可能ですが、冬の寒さで枝枯れなどが考えられる場合は少し暖かくなる2、3月頃に行うのが良いでしょう。

○ ブルーベリーの結果習性
 剪定を行う上で知っておく必要がある結果習性についてお話します。結果習性とは、花芽が枝のどの部位にできるか、花芽と果実との関係、花芽と枝となる葉芽との関係など樹の性質のことです。結果習性を無視して枝を切ると、場合によっては花芽がすべて切り除かれ果実が実らなくなる場合があります。

 今年伸びた枝をよく見ると、先端に近い部分の大きな数芽の花芽と、その下に細かい小さな葉芽があるのがわかります。ブルーベリーは、大きな1個の花芽の中に7〜10個の花となる芽がある総状花序で、花を付ける枝に葉芽を含まない純正花芽タイプです。4月下旬頃に白い小花を沢山咲かせます。ブルーベリーは、果実の着生した部分に葉芽がないため、冬になると果実の付いていた枝はもとのところまで枯れ込みます。

 翌年の花芽は、6〜8月頃にかけてできます(分化するといいます)。また、花芽は、成長する新梢の先端部の葉の脇につきますが、先端の芽(頂芽)は成長の停止した時点で枯死・脱落するため実際には腋芽が花芽になります。

 ブルーベリーの花芽は枝の先端の方にあるため剪定に際しては、樹を大きくするために伸ばそうとする枝は花芽のついた先端部分を剪除しますが果実を成らせる枝は先端の切り返しはしません。ただ花芽が沢山着いている場合、結実量の調整のため弱い枝では1枝に1個の花芽にするなどの花芽の整理を行います。(K. Suzuki)




□ 文献紹介:減量後の体重を維持するには行動計画が必要

 減量した後にその体重を維持するには、リバウンドに備えて行動計画(自己規制プログラム)を立てることが重要であるとアメリカ・ブラウン大学の研究チームが発表しました。

 体重を減らすときは、洋服が似合うようになるとか、体重計の数字が下がるとか、周りの人が声をかけてくれるなどがありますが、体重維持期に入るとこうしたことが少なくなり、リバウンドしやくなります。

 そこで、研究者らは、過去2年間で以前の体重より最低10%以上を減量した男女314人(平均で19.3kg(20%)減量)を対象にリバウンドに備えるための研究を行いました。

 被験者は3群に割り付けられ、「対照群」は、食事や運動習慣についてのニュースレターを年4回受けとりました。「対面式対応群」は、定期的な体重測定に加えて専門家による助言やカウンセリングを直接受けました。「インターネット対応群」は定期的な体重測定に加えて専門家による助言やカウンセリングをインターネットで受けました。18カ月後、2.3kg以上体重が増加したのは、対照群で72%、インターネット群で55%、対面対応群では46%でした。

 対面式対応群がリバウンドに成功したのは、毎日の体重測定だけではなく、体重報告の義務や、行動計画の必要性が関与していると研究者は考えています。

【文献】
Rena R. Wing, R. R. et al.: A Self-Regulation Program for Maintenance of Weight Loss. New Engl. J. Med. 355: 1563-1571. (2006)




□ 文学の中の果物:夜明け前(島崎藤村)

 その晩、家のもの一同は炉ばたに集まった。隠居はじめ、吉左衛門から、佐吉まで一緒になった。隣家の伏見家からは少年の鶴松(つるまつ)も招かれて来て、半蔵の隣にすわった。おふきが炉で焼く御幣餅の香気はあたりに満ちあふれた。

「鶴さん、これが吾家(うち)の嫁ですよ。」

 とおまんは隣家の子息(むすこ)にお民を引き合わせて、串差(くしざ)しにした御幣餅をその膳(ぜん)に載せてすすめた。こんがりと狐色(きつねいろ)に焼けた胡桃醤油(くるみだまり)のうまそうなやつは、新夫婦の膳にも上った。吉左衛門夫婦はこの質素な、しかし心のこもった山家料理で、半蔵やお民の前途を祝福した。(「夜明け前」から)


島崎藤村(しまざき とうそん:1872年3月25日〜1943年8月22日)は、木曾の馬籠(現在の岐阜県中津川市)で生まれました。主な著書は、「破戒」、「家」、「夜明け前」などです。




□ お知らせ

○ 「第4回オーライ!ニッポン大賞」の募集について

 都市と農山漁村の共生・対流推進会議、農林水産省などでは、都市と農山漁村の共生・対流を推進し、国民への新たなライフスタイルの普及定着を図ることを目的として「第4回オーライ!ニッポン大賞」の募集を開始しました。
 各地で都市と農山漁村の共生・対流に係わるさまざまな活動をされている皆様の応募・推薦をお待ちしています。
 募集期間 平成18年12月1日(当日消印有効)
 応募方法及び応募先の詳細は下記のサイトをご覧下さい。
 http://www.kyosei-tairyu.jp/award07/

○ りんごと米の収穫祭

 「りんごと米の収穫祭」は、りんごと米の消費拡大と地産地消を図るため、毎年、弘前市りんご公園で開催しているイベントです。
 当日は、りんご公園で収穫したりんごや、市内の農家の皆さんが生産したりんご・米などの農産物、漬物や豆腐・もち・菓子などの農産物加工品を販売するそうです。
 日時:11月19日(日)、午前10時〜午後2時
 場所:弘前市りんご公園
    弘前市大字清水富田字寺沢125番地
http://www.city.hirosaki.aomori.jp/kouhou/h181101/pdf/09.pdf

○ みかん祭り

 ラジオ大阪の開催する『OBC・10万人のふれあい広場』で「みかん祭り」が開催されます。みかんの試食を中心に、みかんの魅力、栄養・機能性などをアピールします。

日時 :平成18年11月23日(木・勤労感謝の日) 9:00〜
場所 :大阪城公園「太陽の広場」

○ 明日を元気に くだもの教室

場所:荏原文化センター(東京都品川区中延1-9-15)
日時:2006年11月18日(土)参加無料

午前 土井善晴氏による「親子料理教室」
   (親子料理教室は定員が少ないので申し込みはお早めに)
午後 シンポジウム「知っトク、納得、おいしいくだものの不思議」

問合せ先:03-6418-6511 東京事務局
http://www.kudamono200.or.jp/event/18kudamono-day.pdf

○ やさい・くだもの健康食生活セミナー

テ ー マ:「きちんと やさい・くだもの をとって健康生活」
日時:平成18年11月27日(月)14:00〜16:00
会場:さいたま新都心合同庁舎2号館5階共用大研修室5A
  (埼玉県さいたま市中央区新都心2−1)
構成:第1部 「野菜の健康力を見直そう」
   第2部 「果物と健康」
締め切り:平成18年11月20日(月)
 ※詳細及び参加申込みについては、関東農政局ホームページをご参照下さい。
http://www.kanto.maff.go.jp/yasai_kudamono/kenkou181127.pdf


    ■ 食事前に果物、ダイエットの新しい習慣


☆ 編集部より ☆

 リンゴの主要品種「ふじ」の収穫が最盛期です。「リンゴを食べると確かに満腹になるね」と、多くの人に声をかけていただいています。(tnk)


 先日、近所のばあちゃんから、カキをたくさんいただきました。庭の片隅に30年も前から植わっている木に実ったものだそうです。品種も不明ですが、もぎたての「カリっ!」とした歯触りがたまらない美味しさです。それにしても、スーパーで見かけるカキは、皆、ものすごい立派ですよね。いつも「カキ栽培のプロはすごいなあ..」と感心します(uru)


 金曜日はトラブルで発行できませんでした。本メルマガを毎週、楽しみにしている読者の皆様、ごめんなさい(sk)。




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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